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強制不妊で電話相談 県弁護士会、21日に

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 旧優生保護法(1948~96年)に基づいて障害者らへの強制不妊手術が行われた問題で、県弁護士会は21日、不妊手術を強制された人や家族を対象にした2回目の電話相談を実施する。今年3月30日の1回目には「優生手術」を受けたとされる女性の家族から相談1件が寄せられており、同会は「実態解明のためにも積極的な情報提供を」と呼び掛けている。

  当日は、午前10時~午後0時、午後1~4時に電話(023・666・3053)かファクス(023・635・3685)で相談に応じる。同会所属の計6人の弁護士が対応予定。当時、手術に同意した人も対象に入るという。

 県健康福祉企画課によると、旧厚生省の衛生年報などに記載された手術人数は県内では445人で、県が手術を受けたと確認できたのは31人としている。県でも電話相談(023・630・3136)を実施している。

毎日新聞   2018年5月19日


ミュージシャン・小室等(5)「その日の自分」表現したい

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 〈近年は社会貢献活動にも意欲的に取り組む。福祉施設「近江学園」(滋賀県湖南市)などを創設した糸賀一雄さんの名を冠した「糸賀一雄記念賞音楽祭」の総合プロデュースを担当。障害者たちとアーティストたちが一緒に行う活動を取り仕切る〉

 最初は、鑑賞に堪えうる表現になるだろうかと不安でした。でも、このイベントに参加することで、今までとは違う世界が見えるようになったんです。

 たとえば、障害のある人たちとプロのダンサーが一緒に踊るワークショップがありました。普段は車いすで生活している女性がステージでは車いすを降りることになったんです。彼女が自分の肉体を精いっぱいに使いながら一生懸命に動いていたのが印象に残っています。彼女がステージの袖から出てくるとき、「私を見て」というような明るい表情を客席に向けていました。彼女の本当に楽しそうな姿が実に印象的でした。

 障害者に関わり続けることで、私自身にも変化がありました。今年4月に東京でライブを行ったのですが、その日の朝から、のどが腫れてほとんど声が出なくなってしまった。これほど出なくなったのは初めての経験でした。こんな状態でライブをするなんてありえない。かつての僕だったら謝罪して公演をキャンセルしたと思うんです。

 でもそのとき、今の状態で自分がどんなパフォーマンスができるのかを発見してみたい、と思えるようになっていたんです。その発見を楽しんでいる僕を表現できれば、観客の方たちも面白がってくれるはずだという気持ちを持てるようになりました。

 〈この日のステージでは音程に寄り添える部分は歌い、無理なときは、歌詞を語りながら曲を仕上げた。バンドのメンバーたちも小室の声を来場者に届けようと、メリハリの利いた演奏を披露した〉

 そのパフォーマンスが全ての聴衆に認めてもらえるかは分からなかった。だから「公演が気に入らなかった方にはチケット代を返します」という内容のアナウンスをしました。でも返金を求める方は一人もいなかった。それどころか「いつも以上にきょうは言葉が耳に入ってきました」と言ってくださるお客さんもいました。いつもは無意識に流して歌ってしまっているようなところも、その日は流せない。思いをしっかりと乗せられたのかもしれません。

 〈6月6日には東京都中野区のポレポレ坐(ざ)でライブを開催。6月30日には愛知県豊橋市のジャズバー「Coty(コティ)」で、ミュージシャンの佐久間順平さんとステージに立つ〉

 どんな状態でも、その日の自分を表現できることが今の僕にとっては大事なことだと実感しています。そう思うのは自分の残りの人生はもうそんなに長くはないと現実的に感じているからでもあるのでしょう。そんなことを思いながら、今は自分の音楽活動を展開しています。

 最近の音楽は、リズムありきの曲が少なくありません。リズムに当てはまるように言葉を乗せるので、一つの単語すらも切り刻んでしまう。でも、僕は言葉の語感を大事にしながら、歌のメッセージを届けていきたいと思っています。何しろ僕の音楽活動の源流は、自分の思いを歌に託して人々に訴えるフォークソングにあるのですからね。

産経ニュース

強制不妊手術 政治主導による救済 一刻も早く

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 旧優生保護法下の強制不妊手術を巡り、国に損害賠償を求める提訴が拡大している。戦後、「不良な子孫の出生防止」という優生思想に基づき、障害者らへの不妊手術が繰り返された。あからさまな差別であり、個人の尊厳を踏みにじる断じて許されない非人道的行為だ。

 国は「当時、合法だった」として謝罪も補償も一切せず、今も訴訟で争う姿勢を崩していない。だが、国策によって人々を苦しめ、未来を奪ったことに違いはない。1996年に「障害者差別に当たる」として旧法を母体保護法に改定したとき、救済すべきだった。それ以降長く放置した責任も重い。被害者は高齢となっており、これ以上の解決の引き延ばしは認められない。国には、裁判の結果を待たず、政治主導の全面救済に一刻も早く乗り出すよう求めたい。

 不妊手術を施された障害者らは約2万5千人で、うち強制されたのは約1万6500人とされる。法制定から70年。被害者が声を上げることでようやく実態が明らかになってきた。対象者は児童にまで及び、だました上での手術すら容認された。旧厚生省は、実施が予算上の目標に届いていなければ件数を増やすよう各都道府県に通知。自治体はそれに応じていた。

 国は、厳格な手続きを経ていたと主張して補償を拒んできたが、残された資料からは、ずさんな運用実態も浮かんだ。本人同意のない不妊手術の適否を判断する都道府県の優生保護審査会は形骸化、「貞操感がない」など偏見に満ちた理由で、診察さえしなかった疑義が生じている。旧法が禁じた子宮摘出や放射線照射の例もあった。国は先月全国調査に着手したが、実態の究明と政策の徹底検証をしなければならない。

 相談窓口の充実など、当事者が声を上げやすい環境整備も欠かせない。被害者は自分で意思を伝えられず、差別や偏見を恐れて泣き寝入りしてきた家族も多いとみられる。年月の経過に伴って、強制手術を裏付ける公的資料が廃棄され、個人の特定も困難になった。記録のあるなしで救済の線引きをすることはあってはならず、国は当事者の証言を尊重した補償制度を構築する必要がある。

 強制不妊手術が、基本的人権を定めた日本国憲法下で行われたという信じがたい現実を、国はもとより社会全体が重く受け止め、省みなければならない。旧法は議員立法により制定された。国会は誤った国策を止めるどころか推進。審査会を運営した自治体も医学界も、民生委員らもこぞって流れに乗り「本人のため」と手術を働き掛け、追い詰めた。法が見直されたのはわずか22年前。相模原障害者施設殺傷事件で露呈したように優生思想は今も根強く残る。

 国は障害者白書などで共生社会の実現をうたう。そのために必要なのは、まず国が率先して過ちと正面から向き合い、深い反省を示すことである。

2018年5月19日(土)(愛媛新聞)

不妊強制、教科書にも差別的表記 「病気持った人除く」

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 かつての優生保護法のもとで障害者らが不妊手術を強制された問題で、当時の高校の保健体育の教科書にも法の重要性や「不良な子孫が生まれないように」などと手術の正当性を説明する記述があることがわかった。教育の現場でも、優生思想の差別的な考え方が広く教えられていたとみられる。

 1950年に発行された教科書は、同法について「社会から悪い遺伝性の病気を持った人を除き、健康で明るい社会をつくるためにたいせつなもの」と記述。「悪い遺伝性の病気」がある場合は「不良な子孫が生まれないように、優生手術をうけてから結婚しなくてはならない」と説く内容だった。「凶悪犯罪者には精神病や白痴の者が少なくない」とも述べていた。

 62年発行の教科書では、同法の制定に触れて「素質の著しく劣悪な人に優生手術を施し、子どもができないようにすることができることになった」と記述。結婚相手を選ぶ際に「次の世代の素質の向上」を考えるよう呼びかけていた。

 また、73年から82年にかけての高校保健体育学習指導要領解説は「心身に特別な異常をもつ子孫の出生を防止し、母性の生命や健康を保護することを目的とした優生保護法にふれる」などと記していた。

 林芳正文部科学相は4月27日の記者会見で「優生思想に基づいた差別は明確に否定されており、障害者に対する差別は決してあってはならない」と述べた。

朝日新聞   2018年5月18日

鳥取県が独自支援へ 補正予算計上

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 旧優生保護法(1948~96年)に基づき、大勢の障害者らが不妊手術を強制された問題で、鳥取県の平井伸治知事は18日の定例記者会見で、被害者が国に賠償を求めて訴訟を起こした際、県独自に支援する考えを明らかにした。6月県議会に120万円の補正予算を計上する。

  平井知事や県によると、訴訟にかかる費用のうち支援を想定しているのは、被害者本人の旅費・交通費▽成年後見人の登録費▽家族や手話通訳者の同行費用--など。県によると、自治体のこうした支援制度はこれまで聞いたことがないという。

 これまでの国や県の資料では、県内で23人が手術を受けた可能性があるとの記録が残っている。市町村に個人情報を照会するための準備作業を進めている。

 平井知事は、救済法案の提出が来年の通常国会を目指していることと厚生労働省の全国調査について「正直遅いと思う。国は謝罪すべきで、それはすぐできるのではないか」と批判した。

毎日新聞  2018年5月18日

共に歩む

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 精神障害のある人を抱える家族同士の集いで、切実な声を聞いた。NPO法人みどり会(仙台市)が先月下旬、青葉区の市福祉プラザで開いた月例の懇談会。参加した25人は悩みを打ち明け、支援サービスや治療に関する情報交換をした。
 2014年の精神保健福祉法の一部改正により、障害者に治療を受けさせるなどの義務を保護者(主に家族)に課す保護者制度が廃止された。家族の高齢化に伴う負担軽減措置だが、当事者と日々向き合う現実に変わりはない。
 「家族会に出て来ることのできる方は一部でしょう。内なる偏見から脱却し、相談できるようになるには何年もかかる」。みどり会家族部会長の黒川洋さん(68)に説明を受けて胸が詰まった。黒川さんは10歳の時、母親が統合失調症で入院。6年前に86歳で亡くなるまで一緒に歩んできた。だから家族の苦悩は痛いほど分かり、「一緒に考え、一緒に元気になってほしい」と強く望む。
 愛情を持って10年、20年と長きにわたり見守る家族たち。精神障害を含め、あらゆる障害のある人と家族への支援の拡充を願わずにはいられない。(生活文化部次長 芳賀紀行)

2018年05月18日   河北新報

バリアフリー対応、一目で 調布市がハンドブックを発行

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 障害者や高齢者の外出に役立ててもらおうと、調布市は市内の公共施設や飲食店などのバリアフリー化の対応をまとめた「バリアフリーハンドブック」を発行した。

 コンビニやファミレス、喫茶店、カラオケ店、美容室、医療機関、銀行、図書館や公園、駅など四百三十一の施設について、出入り口の段差や自動ドア、エレベーターや階段、手すり、スロープの有無、点字案内、車いすトイレの状況など三十八項目をまとめている。

 店舗などは写真や住所、電話番号、営業時間も紹介。必要に応じて「車いすやベビーカーから降りずに飲食できます」「出入り口に二センチほどの段差があります」といった情報も添えた。

 A4判、七十四ページのオールカラーで、市は四千部を印刷。主な公共施設や掲載した施設に置くほか、市ホームページからダウンロードできるようにする。市障害福祉課の担当者は「冊子を通じて障害者、高齢者への理解を深めていただければ」と話している。 

2018年5月19日   東京新聞

エレベーター問題 エレベーターなしだと訴訟リスク

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 木造復元後の名古屋城天守閣にエレベーターを設置しない方針について、名古屋市は17日、法令違反として提訴される可能性があるとの指摘を弁護士から受けたことを明らかにした。

  この日開かれた市議会経済水道委員会で、市は弁護士2人の見解を説明した。「エレベーターと同等の設備があれば違反ではないと考えられるが、同等か否かは設備の形状、機能にもよる」「新技術に頼らず、現在の技術水準で検討を重ねることも努力義務」などとし、2人とも訴訟リスクを指摘したという。

 市は、エレベーターの代わりに障害者らの登城を可能にする新技術などについて検討する協議会を設置し、障害者団体や開発者などの参加を求める方針を示した。渡辺正則・観光文化交流局長は「遅くとも7月までに設置する」と答弁した。

毎日新聞    2018年5月18日


許諾がなくても書籍データ化OK

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著作権法改正で本が探しやすく 論文盗用防止にも一役

 インターネット上での著作物の利用を拡大する改正著作権法が18日、参院本会議で可決、成立した。著作権者の許諾を得なくても書籍などを電子データ化でき、書籍の検索や論文などに盗用がないかを検証しやすくなる。ネット活用が進む教育現場でも新聞などを教材として使いやすくする規制緩和を盛り込んだ。改正法は一部を除き来年1月1日に施行される。

 著作物の電子データ化は、原則として著作権者の許諾が必要だった。法改正により、許諾なしで書籍の内容をスキャンしてサーバーに蓄積できるようになる。本文中のキーワードなどで検索ができるようになり、欲しい書籍が探しやすくなる。閲覧できる部分は本文の数行など一部に限定し、書籍が売れなくなるなどの不利益を著作権者に与えないよう配慮した。

 許諾を得ずに済むことで、ネット事業者などが大量の論文データを収集しやすくなり、論文に盗用がないかを照合する新サービスを提供できるようになる。

 また、学校の授業で教員が小説や新聞記事の電子データを教材として生徒のタブレット端末に送信する場合も許諾を不要とする。美術展などで端末に掲載する作品解説に写真も使えるようになる。従来は冊子などの紙媒体に限られていた。

 本の内容を音声化した「録音図書」はこれまで視覚障害者を対象にした場合のみ、許諾が不要だったが、手が動かないなどの障害によって読書が困難な人も対象に加えた。

2018.5.18    SankeiBiz

孤独な戦い、救済へ風穴 不妊手術強いられ提訴の女性

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 孤独な戦いを支えたのは、養子として迎えた息子の存在だった。旧優生保護法下で知的障害を理由に不妊手術を強いられたとして17日、仙台地裁に国家賠償請求訴訟を起こした宮城県の70代女性。約20年前から被害を訴え、国に謝罪を求め続けてきた。その行動が旧法を巡る訴訟や補償措置の議論を推進。被害者救済の道を開きつつある。

 中学卒業後、知的障害者に職業訓練する「職親」の家庭へ。16歳だった時、説明もなく手術を施された。両親の話で不妊手術と知り「一生がなくなった」と死ぬことばかり考えるようになった。

 20代で結婚後、子供を諦めきれず男児を養子に迎えた。職親には「子供を産めなくされたのに養子をもらうなんて。育てることもできないくせに」と心ない言葉を浴びせられた。だからこそ、きちんと育て上げようと決めた。

 夫とは離婚。生活は楽ではなかったが、息子は家事を済ませて仕事の帰りを待っていてくれた。「苦労もあった。かわいそうな思いもさせた。自殺も考えた。だけど息子がいたから踏みとどまって頑張ろうと思った」

 手術が刻んだ心の傷は癒えない。泣き寝入りしたくないと約20年前から国に謝罪を求め、裏付けとなる資料の開示を県に求め続けてきた。

 2015年には日弁連に人権救済を申し立てた。こうした活動が契機となり、県内の60代女性が、手術に関する資料の開示を受けて今年1月に全国初の国賠訴訟を提起するに至った。国会議員の間では救済立法を巡る議論が起こり、国は全国的な実態調査へ。女性自身も提訴にこぎ着けた。

 「やっとここまで来られた」。1人で被害を訴え続けてきたが今は全国の被害者らと手を携え、一日も早い救済を求めて声を上げ続けていく。

養子に迎えた当時の息子の写真を眺める宮城県の70代女性(3月、宮城県内)=共同

養子に迎えた当時の息子の写真を眺める宮城県の70代女性(3月、宮城県内)

2018/5/18    日本経済新聞

交通事業者が計画策定=改正バリアフリー法成立

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 2020年の東京五輪・パラリンピックに向け、鉄道やバスなどの公共交通の事業者に段差解消などを促す改正バリアフリー法が18日の参院本会議で全会一致で可決、成立した。一部は18年度、他の部分は19年度に施行する。
 改正法は、バリアフリー化推進に向け、事業者に高齢者や障害者が安全に移動できるようスロープやエレベーターなどの設置を盛り込んだ計画策定を義務付け、共生社会の実現を目指す。職員を対象とした障害を持つ乗客らに対する介助研修などソフト対策の実施も促し、計画の進捗(しんちょく)状況について報告を求める。

(2018/05/18-時事通信 )

優生手術提訴 被害掘り起こす契機に

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 旧優生保護法の下で不妊手術を強いられた人たちが、補償を求めて提訴する動きが広がった。障害者らへの重大な人権侵害の実態解明に向け、埋もれた被害の掘り起こしにつなげたい。

 東京、宮城、札幌の70代の男女3人がそれぞれ、国に損害賠償を求める裁判を起こした。子どもを持つ自己決定権を奪ったことは憲法に違反すると訴えている。

 1月に提訴した宮城の女性を含め原告は4人になった。近く全国弁護団が結成され、提訴はさらに各地に波及しそうだ。

 今回の3人が手術を強制されたのは1950年代、60年代である。既に長い時間が過ぎ、裏付けとなる記録は見つかっていない。

 差別を受けた当事者にその責めを負わせられない。訴えを起こすこと自体、大きな苦しみを伴う。本人の証言を踏まえて尊厳の回復が図られなくてはならない。

 札幌の小島喜久夫さんは、原告で唯一、実名を公表した。同じようにつらい思いをしてきた人たちが声を上げてくれたら、と提訴後に語っている。

 19歳のころ、医師の診察もなく「精神分裂病」と診断されたという。旧法が定めた手術対象ではない人にまで被害が及んでいたことを示す証言である。

 旧法は「不良な子孫」の出生を防ぐ目的で戦後の48年に制定された。96年に改定されるまで、およそ2万5千人が手術を受けさせられている。1万6千人余は本人の同意がない強制手術だった。

 旧厚生省は、強制手術にあたって身体の拘束や麻酔のほか、だますことも認めた。手術件数を増やすよう都道府県に要請してもいた。国、自治体を挙げて手術を推し進めた実態が浮かぶ。

 法の運用や手術の可否を判断する手続きもずさんだった。政府は、当時は合法的に厳正な手続きで行われたとして補償を拒んできたが、その根拠は崩れている。

 1月の提訴後、事態は大きく動いた。与野党の議員連盟や与党の作業部会が発足し、立法による被害救済の動きが進む。政府も実態調査を始めた。

 幅広く補償を図るとともに、被害の実情を詳しく検証することが欠かせない。旧法を国会が議員立法で成立させたことを含め、責任の所在も明確にする必要がある。過ちに正面から向き合わなければ根深い差別を克服できない。

 なお多くの当事者が声を上げられずにいる。被害者を支える取り組みを強め、その現状を変えていかなくてはならない。

(5月18日) 信濃毎日新聞

神戸同友会、人手不足に「5つのアプローチ」 女性・高齢者・若年・外国人・障害者

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20180518同友会記者会見 
 神戸経済同友会の国井総一郎代表幹事(ノーリツ社長、写真中)は18日午前、総会を控えて記者会見し、深刻化している人手不足と雇用のミスマッチについて「女性、高齢者、若年、外国人、障害者と5つのアプローチで取り組みたい」と述べ、18年度の活動方針を示した。国井氏は兵庫県の女性就業率が全国的にみても低いことなどを指摘。提言特別委員会を立ち上げたうえで「2つの分科会を作って具体的に進める」と説明した。

 提言特別委は国井氏が委員長を務める。副委員長として「女性・高齢化」の分科会をロック・フィールドの古塚孝志副社長、「若者・外国人・障害者」の分科会を大吉財団(神戸市中央区)の山本吉大理事長が担当。それぞれ積極的な労働への参加を促すための施策を練る。提言は年内にもまとめたい考えだ。さらに国井氏は「人材の流動化も、もっとやる必要がある」とも話した。

 代表幹事として2年目に入る国井氏とともに、今年度から代表幹事に就任する神戸土地建物(神戸市中央区)の中尾一彦副社長(写真左)は、「経済の活性化に貢献したいという、強い気持ちでいる」と抱負を述べた。中尾氏は2017年まで約35年間、三井住友銀行(旧太陽神戸銀行)に勤務。人事や管財の経験が長い。中小企業の事業承継なども課題になっていることから「銀行でつちかったノウハウも生かしたい」と話した。

 代表幹事を退任する塚本晃彦・神戸製鋼所顧問(写真右)は「神戸開港150年記念事業や兵庫県政150周年の事業などをきっかけに、未来を前向きに語る動きが出てきた」と指摘。「この流れに棹(さお)さして、引き続き何かしていければと考えている」と話した。 2018/05/18   神戸経済ニュース

駅無人化、広がる影響 トラブルの際、障害者心細く

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 シャッターが下りた改札口横の窓口を見るたび、不安がよぎる。
 3月のダイヤ改正に合わせて無人化された大分市のJR日豊線牧駅。14日午前、ホームに降り立った同市里のパート女性(50)は「元のように駅員さんがいてくれたら…」とこぼした。
 週5日、最寄りの坂ノ市駅から列車に乗り、牧駅近くの職場に通う。軽度の知的障害があり、ダイヤが乱れたときなどは状況が把握できず、パニックになることがある。
 「誰もいないと尋ねることもできない。JRは私たちのことをどれだけ考えているんだろう」。女性は寂しそうにつぶやいた。

撤回求め署名活動
 鉄道事業の合理化を進めるJR九州。当初は大分市内8駅を一斉に無人化する予定だったが、牧を除く7駅は先送りした。障害者や高齢者から「トラブルの際に助けてもらえない」などと反発が相次いだためだ。
 計画自体が消えたわけではない。同社は「牧駅やバリアフリー化工事の状況を踏まえ、引き続き検討する」と説明する。
 障害のある人や支援者らでつくる「だれもが安心して暮らせる大分県をつくる会」は17日、計画の撤回を求める署名活動を始めた。「合理的な配慮を求める県条例に逆行している」などと訴え、8月上旬までに2万筆を集める目標だ。
 宮西君代共同代表(55)=同市=は「無人化は安全安心とかけ離れている。県内全域への広がりを食い止めるためにも、反対の声を形にして届けたい」。

役割見詰め直して
 まちづくりにも影響が及んでいる。
 約1万3千人が生活する同市南部の判田校区。自治会は2013年から、豊肥線中判田駅を中心としたにぎわいづくりのプロジェクトを進めている。
 日本文理大生の協力を得て「エレベーターがない」「駅前の道路が狭い」などの課題を抽出。駅前のロータリー化や休憩スペースの設置を市に提案してきた。
 突然の無人化計画で先行きは不透明になった。「行政と具体的な話を進めるところだった。水を差された」。自治委員の早野正生さん(66)は憤る。
 「単なる交通施設ではない」。同大の近藤正一教授(49)は指摘する。「高齢化が進めば車の利用が減り、駅は地域の人が顔を合わせる拠点になる。JRを含め、みんなが駅の役割を見詰め直すべきだ」

<メモ>
 JR九州は大分市内8駅を無人化し、遠隔で乗客案内や安全確認をするシステム「スマートサポートステーション」を導入する計画を発表している。先行実施した牧駅に続き、敷戸、大分大学前の2駅は点字ブロックを整備し今秋ごろに無人化する。残る5駅のうち鶴崎は本年度、高城と大在は2020年度以降を予定。坂ノ市と中判田は未定。 ※この記事は、5月19日大分合同新聞朝刊21ページに掲載されています。

JR中判田駅を中心としたまちづくりプロジェクトを進める判田校区自治委員の早野正生さん。「水を差された」と憤る=大分市

次へJR中判田駅を中心としたまちづくりプロジェクトを進める判田校区自治委員の早野正生さん。「水を差された」と憤る

2018/05/19        47NEWS

日豊線、ワンマン特急 津波想定、障害者団体など 川南

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 JR九州は17日、南海トラフ巨大地震による津波を想定した列車からの避難訓練を、日豊線が太平洋沿岸を走る川南町で実施した。沿線自治体や県警、障害者団体などから約100人が参加し、車掌のいない「ワンマン運転」の特急運行時に地震が起きた際の避難方法を確認した。

  日豊線の大分-宮崎空港間の特急は3月のダイヤ改正で38本中20本がワンマン運転となり、災害時の対応を懸念する声が上がっている。

 訓練は宮崎駅発上り特急が、川南駅(川南町)-都農(つの)駅(都農町)間を走行中、震度6強の地震が発生したとの想定。緊急地震速報を受けて特急は緊急停止し、乗客は運転士の指示で線路上に降りたほか、障害がある参加者らは周りの乗客の助けを借りながら非常用のスライド(滑り台)を使って降り、近くの高台に避難した。

 車椅子で参加した女性(27)は「車椅子の人は助けがないと逃げられない。訓練では助けてくれる人が多かったが、実際はどうだろうかという不安がある」と話した。

毎日新聞   2018年5月19日


障害者サーファーに歓声

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 体に障害がある人の「アダプティブ(適応)サーフィン」のエキシビションマッチが18日、千葉県いすみ市の太東海水浴場で開かれ、義足や義手のサーファーが次々と波をとらえた。主催する日本障害者サーフィン協会(同市)によると、世界大会の採点基準を取り入れた障害者の大会は国内初。協会はパラリンピックでの採用を目指す。

 首都圏を中心に30~70代の男性8人が参加。波が低く海水も冷たいコンディションだったが、腹ばいや立った状態でボードを操り、波の上を滑るたびに100人以上の観客から歓声が沸いた。障害の程度に応じたハンディキャップを決め、演技点と合算して競った。

体に障害がある人の「アダプティブサーフィン」のエキシビションマッチに参加した日本障害者サーフィン協会の阿出川輝雄代表理事   5/18    徳島新聞

理解を 軽井沢で来月17日、フェスタ ボッチャや車いすバスケ

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 2027年に国民体育大会(国体)と合わせて県内で開催予定の「全国障害者スポーツ大会」に向け、障害者スポーツへの理解を深め、大会開催機運を醸成しようと、6月17日に軽井沢町で「パラスポーツフェスタin軽井沢」が開かれる。

  パラスポーツフェスタは県や町、関係団体でつくる実行委員会の主催。県はスポーツ団体などと協力してフェスタを県内各地で開く考えで、軽井沢がその第1弾。町は障害者や高齢者らが参加するユニバーサルスポーツ祭を毎年開いており、その実績を生かす。

 フェスタ会場は風越公園総合体育館。午前は事前申し込みによるボッチャや車いすリレーなどの「あすチャレ!運動会」を、午後はカーリングのSC軽井沢クラブ選手らのトークショーと、一般参加のボッチャや車いすバスケットなどの「パラスポーツわくわく体験会」がある。

 県によると、県内の障害者は16年度末で14万9279人。県内では、1998年に冬季パラリンピック、05年に知的障害者のスペシャルオリンピックス冬季大会があったが、スポーツに親しむ障害者は減少傾向という。

 5月17日の実行委初会合で、浅岡龍光・県障がい者支援課長は「20年には東京パラリンピックもある。障害者スポーツの認知度を上げ、県民の理解を広げたい」と呼びかけた。

毎日新聞   2018年5月19日

障害者雇用/特性に応じた環境づくりを

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 企業などに障害者を一定割合以上で雇用するよう義務付ける障害者雇用促進法が改正され、4月から雇用率が引き上げられた。従来の知的・身体障害者に加え、新たにそううつ病や統合失調症などの精神障害者も雇用義務の対象となった。
 企業や自治体は雇用促進はもちろん、障害者の特性に応じた配慮や環境づくりが求められている。
 障害者の雇用率は4月から、企業が2.2%、国や自治体が2.5%、教育委員会が2.4%とそれぞれ0.2ポイント増えた。2020年度末まで、さらに各0.1ポイント上乗せされる。対象となる企業規模も従業員50人以上から45.5人(短時間労働者は0.5人で計算)以上と拡大された。
 昨年6月1日時点の雇用率を見ると、東北6県では福島と宮城が全国平均1.97%を下回っている。特に宮城は14年、15年と2年連続で全国最下位となっており、障害者雇用は遅れていると言わざるを得ない。事業主らは企業の社会的責任を自覚する必要があるだろう。
 宮城県では17年、従業員50人以上の企業の雇用障害者数は5357.5人と過去最多だったが、雇用率は1.94%で全国42位と下位に甘んじた。雇用率の未達成企業は46.8%で、その6割は一人も障害者を雇っていない。
 さらに、範を垂れるべき宮城県教育委員会も昨年6月時点で法定雇用率に達せず、自治体も登米市や角田市など10市町で法定雇用率を満たしていなかった。
 そうした中で、全国的にも先駆的な取り組みをするのが栗原市の関係者たちだ。
 旧10町村が合併する前の03年、保健所や職業安定所、企業などが連携して障害者就労を支援する「ネットワーク会議」を設立。05年の合併後は名称を変えて活動し、就労セミナーを14年間開催したり、企業訪問したりしている。官民協働のネットワークがすっかり地域に定着した。
 それに加え、実習や訓練、就職後のサポートなどに保健師やNPO関係者、事業主らが携わるネットワークも機能し、障害者が孤立しないよう一人一人を支えている。
 そうした取り組みは他の地域でも参考になるのではないか。各地域が就労支援の枠組みを模索するべきだ。特に企業が集中する仙台市は、官民が連携して障害者の社会参加を充実させてほしい。
 企業も単に雇用すればそれでいいわけではない。事業主や職場の人が、障害特性に関する正しい知識を得て理解を深めることが重要となる。障害者が働きやすい環境かどうかは、働き手を大事にする企業かどうかを測る指標の一つともなるだろう。
 障害者にとって、就労は社会的自立につながる第一歩。障害のある人もない人も共に働くのが当たり前の社会を築きたい。

2018年05月19日   河北新報

障害者支援施設長 福森伸さん(58)=鹿児島市 異なる価値観を掛け算

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 鹿児島市にある知的・精神障害を持つ人のための支援施設「しょうぶ学園」が開園から45年を迎えた。緑豊かな園で自家製パスタのレストランやパン屋を運営し一般に開放しているほか、刺しゅう作品の発表や「不揃(ふぞろ)いな音」をテーマにしたユニークな音楽ライブなど芸術活動にも力を入れる。年間約1万人が癒やしを求めて訪れる人気施設を作り上げた施設長の福森伸さん(58)に話を聞いた。

 Q 施設の特徴は

 福森さん 敷地内に独自店舗やギャラリーを設け、地域の人々に開放する新しいスタイルの障害者支援施設として活動しています。

 Q きっかけは

 A 障害のある利用者さんたちが本当に受けたい教育や訓練とは何か、と考えてきました。ある時、利用者さんに「木を彫って」と依頼すると、穴が開くまで掘り続けた方がいました。普通の人が見れば、欠陥製品です。でも、本人にとっては「失敗」ではない。「器」ではないが、見方を変えれば、それはアートです。一般的であるかどうかではなく、本人が望み、実現させて喜びを感じたならば、それはその人のためになるはずだと職員と話し、徐々に利用者さんがやりたいことに合わせた施設運営をする形になりました。

 Q さまざまな作品が生まれる過程は

 A 彼らには、好きなことがあります。裁縫では何重にも同じところを縫って刺しゅうを固めたり、演奏では大きく音を外したりします。それを個性と捉え、作品にしようと思いました。例えば、彼らの発想で作った刺しゅうを、職員がバッグに縫い付ける。障害者と健常者の異なる価値観を掛け合わせ、新しいものを生み出します。

 Q 建設中の新施設について

 A 新たに障害のある18歳未満の子供たちを受け入れる施設「Bushland HOUSE(草むらの中に建つ家)」を建設中です。自然と触れ合いながら遊んだり、考えたりできる環境を整えたいですね。200人収容のホールも設け、芝居や音楽などジャンルを問わず、多くの表現者を呼びたい。鹿児島全体に刺激を与える施設を目指し、来年4月にオープン予定です。

 Q 今後の抱負は

 A 僕は最初、教育や訓練によって一般社会で暮らせるように努力してもらうことが施設の役割だと思っていました。しかし、逆でした。ルールを押し付け、守れない場合に注意するのではなく、例えば食事に時間がかかる人には「ゆっくり食べる人だね」と職員側が受け止めればいい。利用者さんのペースに合わせることで、自然と職員もイライラすることがなくなり、施設が明るく穏やかになりました。人と人が優しくなれるのが一番です。そんな環境の下、彼らと僕らが双方の能力をミックスさせて作品を作り上げていく。彼らのことをもっと敏感に感じていきたいですね。

 ■人物略歴

ふくもり・しん

 日本体育大卒業で元ラガーマン。両親が1973年にしょうぶ学園を設立し、2003年から施設長に。「元々はアートなんて恥ずかしくて口にできない人間だった」と笑う。

毎日新聞       2018年5月20日

はたらく  「障害者とともに」どう実現

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 「インクルーシブ(包み込み)雇用」という言葉をご存じだろうか。障害や病気などを理由に就労の道を閉ざさず、誰もが「働く権利」を保障され、共に働けること。どうすれば実現できるのか。現状と課題を探った。

 ●最低賃金をクリア

 滋賀県にある琵琶湖から東へ約2キロ。田畑が広がる中にクッキー工場を構える社会福祉法人「共生シンフォニー」(大津市大将軍)は、障害者や引きこもり経験者、子どもがまだ幼い一人親をはじめ、就職で苦戦を強いられる人を長年雇用している。事務所内には、脳性まひなどで車椅子を使うスタッフたちの姿。「(会計の)数字が合わない」「月末締めだから、今が一番忙しい」。苦労話を打ち明ける表情は一様に明るい。

 「『働く』とは、当然、最低賃金以上の対価をもらうことじゃないでしょうか」

 常務理事の中崎ひとみさん(53)は、そう言う。法人の前身は1986年設立の障害者小規模作業所「今日も一日がんばった本舗」。自らも重い脳性まひだった故・門脇謙治さんが先導役を務めた経緯から、「障害者にも労働の権利を保障すべきだ」という考えは当初から一貫している。95年には、作業所に通う障害者全員と雇用契約を結び、最低賃金を保障した。労働界で当たり前のことでも、障害者の世界では先駆的だった。

 ●得意な作業を分担

 現在、年間約1億3000万円を売り上げるクッキー工場の社員や法人のスタッフら約150人の障害者が働く。全員が滋賀県の最低賃金(時給813円)をクリアし、時給1000円に届く人もいる。丁寧な仕事ぶりを買われて材料の計量を担う知的障害者、誰よりも早くクッキー生地を切る自閉症の男性、焼き上がったクッキーを座ったまま検品する身体障害者--。「各自が得意な作業を分担し、生産性を上げています」。そう話すのは製造担当職員の高田真由美さん(47)。自身も、幼い双子を抱えたシングルマザーだった20年前に職探しで苦労した末、ここに職を得た。

 「障害があっても働きやすい職場は、全ての社員にとっても働きやすい職場づくりにつながる」と中崎さん。「誰もが一緒に働ける企業が増えれば、ウチのような法人は要らない。そんな社会になるのが夢」と笑う。

 ●福祉枠は工賃低く

 障害者の就労は二つに大別される。共生シンフォニーのような社会福祉法人などが運営する事業所に通う「福祉的就労」と、企業・団体に就職する「一般雇用」だ。一般的には、障害が重いほど前者を選ぶケースが多い。

 障害者総合支援法に基づく福祉的就労の場合、労働基準法が適用されるのはごく一部だ。「労働者の権利」よりも「障害福祉」の視点に立つため、事業者の多くは最低賃金を守る法的義務はない。種類にもよるが、障害者に払う工賃は多くの事業所が「月1万円程度」というのが現状だ。

 一方、一般雇用にも課題は多い。例えば、自力での外出・移動が難しい人にヘルパーやガイドが同行する福祉サービス「移動支援」の利用は、通勤では原則、対象外。働く意欲や能力があっても自力で通勤できない障害者は職に就けなくなる。60年の障害者雇用促進法施行で一般雇用の障害者は徐々に増えてきた。しかし、厚生労働省による障害者雇用実態調査(2013年度)によると、非正規雇用率は身体障害者で44%、精神障害者で59%、知的障害者では81%に上った。一方、総務省の労働力調査(16年)では、障害のない人の非正規雇用率は38%だった。異なる調査のため単純な比較はできないが、一般雇用とはいえ、障害の有無で処遇に大きな格差があることがうかがえる。

 日本障害者協議会(東京都新宿区)の藤井克徳代表は、こう指摘する。「日本の障害者雇用は労働行政と福祉行政が連携できておらず、『雇用か福祉か』になっている。『雇用も福祉も』という観点での制度設計が必要です」【夫彰子】

根強い「非経済的」との偏見

 国会では2月、インクルーシブ雇用実現に向けた法整備を目指す超党派議員連盟(会長・川崎二郎元厚労相)が発足した。障害者組織や引きこもり支援団体、連合や中小企業家同友会など計12団体が参加している。

 こうした動きの背景にあるのが、日本が14年に批准した国連の「障害者権利条約」だ。27条では、「障害者が他の者との平等を基礎として労働についての権利を有する」ことができるよう、インクルーシブ雇用に必要な法令整備などを締約国に義務付けた。国内では、障害のある人とない人の雇用形態や収入を同じ時期・条件で調査した統計データ自体がなく、現状が「平等」からどの程度隔たっているかを正確に検証することができない。議連は、法令整備にはデータが不可欠として現行の調査を22年度に見直し、必要経費を19年度予算の概算要求に盛り込むよう厚労省などに求めている。

 障害者雇用の問題に詳しい松井亮輔・法政大名誉教授によると、インクルーシブ雇用の取り組みは特に欧州が先行している。ドイツでは1月、就職している障害者が必要な福祉サービスを使えるようにするなど、労働と福祉の壁を超え、個別事情や希望に沿ったサポートができる仕組みを整えたという。

 松井さんは「『労働か福祉か』という行政の縦割りを超えるのが立法府(国会)の役割」と、議連の活動に期待を寄せる。そのうえで、「『障害者雇用は非経済的』という偏見は、企業や一般の人に根強い。一方、福祉関係者は障害者雇用を福祉の枠内だけで考えがちです。行政だけでなく、私たち一人一人が意識転換できるかどうかが問われています」と話している。

 

社会福祉法人「共生シンフォニー」で働くスタッフたち。手前の男性はパソコンで会計事務を処理していた。   毎日新聞   2018年5月21日
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