実務型の宴会部長
○…介護保険制度などの公的制度では対応しづらい、草むしりやゴミ出し、囲碁の相手など日常生活の”ちょっとした”困りごとや「あったらいいな」を手助けする岡本地区の住民組織の初代会長となった。高齢者だけではなく、若い世代への支援も視野に入れ、住民が住み慣れた地域で長く安心して暮らしてもらいたいと考えている。地域での取り組みを「制度から漏れた人を拾う地域のセーフティネット」と解説する。
○…終戦の前年、1944年に満州で生まれた。両親が生まれ育った和田河原で育ち、子どもの頃から「お調子者、ひょうきん者で通っていた」。平塚の工業高校に進学し化学工場に入社したが、横浜市役所に転職し、定年まで勤めた。生活保護のケースワーカー、障がい者の生活指導や職業訓練施設で所長を務めるなど、在職期間の半分以上を福祉畑で奉職した。再任用制度を活用して退職後は障害者に仕事の橋渡しをする団体の嘱託職員として5年間、働いた。
○…地域に戻り、通学路の見守りや障害児、認知症家族のサポートなど、1週間のスケジュールはほぼボランティア活動でぎっしり。「充実していますよ」と話す大きな声が充実ぶりを物語っている。休みの楽しみは一緒に暮らす9歳と5歳の孫とのキャッチボール。近所の店で自治会の仲間と酌み交わすことも心安らぐひと時。「焼酎と焼き鳥」が好物という。
○…「どうも荒井注です」「斉藤さんだぞ」―。怒涛のギャグ連発。周囲の噂に違わぬ人柄。「生きるなら、楽しい方が良いでしょ」。その笑顔には人懐っこさもある。公務員時代は「宴会部長。化粧までして踊りまくっちゃう」と大笑い。この笑いがまとまりの秘訣とも思える。「どう思いますか」―。時折、そんな言葉で記者に水を向ける。立ち上げたばかりの「おたがいさまネット」の運営には余念がない。目指すのは、顔の見えるご近所付き合い。
南足柄市駒形新宿在住 長山 誠一さん 72歳
2017年5月6日 タウンニュース