障害者雇用促進法の対象に精神障害者が新たに加わる見通しだ。政府は今国会で改正法案の成立を目指す。障害者の法定雇用率も4月から15年ぶりに0・2%アップされ、民間企業2・0%、国と地方公共団体2・3%、都道府県教委などで2・2%になった。対象企業の従業員数も56人以上から50人以上に広がり、障害者雇用の進展へ大きな転機と期待される。精神障害者雇用の扉が本格的に開くことで、根強い偏見や差別の解消へ重要な一歩となる。
■福井県内は全国上回る水準■
障害者の雇用数は9年続けて最高を更新し、2012年度は全国で38万人。企業の社会的責任意識の高まりやハローワークなど障害者就労に携わる関係機関の支援が後押ししている。長引く不況の中で雇用が増えたのは評価できる。しかし、推計700万人以上とされる障害者数をみればまだ足りない。
県内企業の障害者雇用も伸びている。12年6月時点で雇用数・率とも最高の2218人、2・27%で全国平均を0・58%上回り、前年同様の2位(福井労働局まとめ)。法定を達成した企業は55・6%になった。精神障害者が加わってもこの水準を保ってほしい。100人未満の中小や500人以上の企業の障害者雇用は県内平均を下回っており、これらの企業の雇用率アップ、さらに民間の手本となるべき行政機関の率先雇用が課題である。
■決め付けないでほしい■
1976年、身体障害者を対象にスタートした障害者雇用制度は98年に知的障害者が加わった。精神障害者は06年から法定雇用率に算入されるようになったが、本格雇用へは道まだ遠い状況だった。
精神障害者は長続きせず退職する懸念が強いとされ、制度加入が遅れた。能力はあるのに気分の不安定や職場環境に慣れるのが苦手といった困難が伴い、企業側がためらってきた。だが、身体障害者と知的障害者に対して偏見を乗り越え受け入れてきた実績がある。精神障害も企業内の理解を得られる環境を整えられるはずである。
ハローワークでは精神障害者の職業紹介が増えつつあるという。しかし、求職は多くても雇用に至るのは一部にすぎず、雇用率に算入される精神障害者は全国で2万人に満たない。精神障害者が働きやすい環境づくりへ課題は多いが、社会が受け入れる機運を高めることが必要だ。
厚生労働省は障害者に向き不向きの仕事はないと強調する。障害者側にも「決め付けないでほしい」と積極的な声もある。各人の障害程度やスキルの習得度、希望や意欲次第で一般事務、販売、製造のほかシステムエンジニアといった専門分野まで雇用が行き渡っている。
■目線を同じに向き合う■
企業にとって障害者を雇用する際の一番の課題が「社内にできる仕事があるかどうか」。経営者からはそのほかにも、職場に適応できるか、仕事をどう教えたらいいのかなど、不安の声が障害者職業センターに寄せられている。ジョブコーチ制度の活用や短時間労働の導入、インターンシップ形式の事前体験など、関係機関と相談すれば元気に働ける工夫はいろいろできる。
ストレス社会で精神疾患患者は約350万人。雇用義務化の対象に必要な精神障害者福祉手帳の所持者は60万人を超えた。病名を公にして働く人が増え偏見を減らす原動力になっている。医療分野の支援も進み、統合失調症やうつ病患者の復職を助ける精神科のリワークプログラムが広がり始めている。偏見解消と社会参加が治療の手助けになる。
精神障害者雇用の義務化には5年の猶予が設けられた。18年春までの長い準備期間、企業は本気で取り組みたい。障害者を雇うのはその人の人生を預かるということだ。企業だけではない。家庭も関係機関も目線を同じに向き合わないと障害者の自立はできない。
福井新聞-(2013年4月14日午前8時37分)
■福井県内は全国上回る水準■
障害者の雇用数は9年続けて最高を更新し、2012年度は全国で38万人。企業の社会的責任意識の高まりやハローワークなど障害者就労に携わる関係機関の支援が後押ししている。長引く不況の中で雇用が増えたのは評価できる。しかし、推計700万人以上とされる障害者数をみればまだ足りない。
県内企業の障害者雇用も伸びている。12年6月時点で雇用数・率とも最高の2218人、2・27%で全国平均を0・58%上回り、前年同様の2位(福井労働局まとめ)。法定を達成した企業は55・6%になった。精神障害者が加わってもこの水準を保ってほしい。100人未満の中小や500人以上の企業の障害者雇用は県内平均を下回っており、これらの企業の雇用率アップ、さらに民間の手本となるべき行政機関の率先雇用が課題である。
■決め付けないでほしい■
1976年、身体障害者を対象にスタートした障害者雇用制度は98年に知的障害者が加わった。精神障害者は06年から法定雇用率に算入されるようになったが、本格雇用へは道まだ遠い状況だった。
精神障害者は長続きせず退職する懸念が強いとされ、制度加入が遅れた。能力はあるのに気分の不安定や職場環境に慣れるのが苦手といった困難が伴い、企業側がためらってきた。だが、身体障害者と知的障害者に対して偏見を乗り越え受け入れてきた実績がある。精神障害も企業内の理解を得られる環境を整えられるはずである。
ハローワークでは精神障害者の職業紹介が増えつつあるという。しかし、求職は多くても雇用に至るのは一部にすぎず、雇用率に算入される精神障害者は全国で2万人に満たない。精神障害者が働きやすい環境づくりへ課題は多いが、社会が受け入れる機運を高めることが必要だ。
厚生労働省は障害者に向き不向きの仕事はないと強調する。障害者側にも「決め付けないでほしい」と積極的な声もある。各人の障害程度やスキルの習得度、希望や意欲次第で一般事務、販売、製造のほかシステムエンジニアといった専門分野まで雇用が行き渡っている。
■目線を同じに向き合う■
企業にとって障害者を雇用する際の一番の課題が「社内にできる仕事があるかどうか」。経営者からはそのほかにも、職場に適応できるか、仕事をどう教えたらいいのかなど、不安の声が障害者職業センターに寄せられている。ジョブコーチ制度の活用や短時間労働の導入、インターンシップ形式の事前体験など、関係機関と相談すれば元気に働ける工夫はいろいろできる。
ストレス社会で精神疾患患者は約350万人。雇用義務化の対象に必要な精神障害者福祉手帳の所持者は60万人を超えた。病名を公にして働く人が増え偏見を減らす原動力になっている。医療分野の支援も進み、統合失調症やうつ病患者の復職を助ける精神科のリワークプログラムが広がり始めている。偏見解消と社会参加が治療の手助けになる。
精神障害者雇用の義務化には5年の猶予が設けられた。18年春までの長い準備期間、企業は本気で取り組みたい。障害者を雇うのはその人の人生を預かるということだ。企業だけではない。家庭も関係機関も目線を同じに向き合わないと障害者の自立はできない。
福井新聞-(2013年4月14日午前8時37分)