体に障害があり、車いすを利用している人が働くカフェが21日、立川市錦町にオープンした。肢体不自由者の働く場を作ろうと、開設されて間もない就労継続支援事業所「たちかわーく」内にカフェが設けられた。22日まではプレオープンとして割安価格でメニューを提供し、1日置いて24日から通常営業を始める。
カフェは、ガラス戸から光が差し込む白を基調とした店内に、四つのテーブルを配置。コーヒーや紅茶などのソフトドリンクのほか、手作りのおにぎりやみそ汁を提供する。壁は貸し展示スペースとして絵画などを飾る予定だ。
初日の21日は昼時に続々と客が訪れ、新しい事業所内がにわかに活気づいた。事業所の利用者で、カフェを担当する谷川陸さん(21)は、カップを載せたワゴンに左手を添え、右手で電動車いすを操作しながら、テーブルまで慎重に移動。「お客さんを相手に仕事をするのは初めての経験。今朝は緊張で4時前に目が覚めたけど、なんとかなるかも」と笑顔を見せた。
この事業所はNPO法人「ワーカーズコープ」(豊島区)が運営しており、今月1日に開設された。事業所を利用する障害者は、雇用契約を結ばずにそれぞれのペースで通って「工賃」をもらう。車いすでも取り組みやすい名刺やチラシの印刷のほか、「地域の人々と交流し、車いす利用者を身近に感じてもらいたい」と、カフェも設けることにした。
事業所の管理者・岩崎正美さん(48)によると、様々な介助を必要とする肢体不自由者が企業に就職するのは難しく、学校を卒業しても働き口が見つからないことが多いという。働く場を提供する就労支援事業所といっても、知的障害者や精神障害者を対象とした施設が大半。就労支援事業所が30か所ほどある立川市内でも、肢体不自由者の施設はごく一部だ。
岩崎さんは「車いすユーザーでも工夫次第でカフェで働ける。お客様にも、車いすの本人にも理解してもらい、肢体不自由者の就労の機運を高めたい」と力を込める。
カフェは平日午前10時~午後2時半。問い合わせは、たちかわーく(042・512・9315)へ。
ワゴンに紅茶を載せて客席に運ぶ谷川さん
2017年08月22日 Copyright © The Yomiuri Shimbun