地検と福祉団体が協力して累犯障害者の再犯予防を目的に始めた「大津プロジェクト」の初適用者で、窃盗罪に問われた大津市の知的障害者の男性被告(61)の判決が13日、地裁であり、丸山徹裁判官は、懲役1年、保護観察付き執行猶予4年の有罪判決を言い渡した。別の窃盗罪の執行猶予中に起こした犯罪に絡み、再び執行猶予判決が出るのは異例だが、専門家は「再犯防止に重きを置いた判断と言え、理解できる」としている。(西井遼、池内亜希)
大津プロジェクトは、知的障害があり、犯罪を繰り返す「累犯」傾向の容疑者や被告に対し、捜査・公判段階から福祉の専門家が積極的に関与し、再犯防止とともに社会内での更生を目指す点に特徴がある。
検察官や弁護人の依頼を受け、精神科医や臨床心理士などでつくる「障がい者審査委員会」が、障害の程度や犯罪を起こした経緯などを調査し、支援対策案を追記して公判前に報告する。
この被告のケースでは、地検が昨年12月の在宅起訴後、県障がい者審査委員会に調査を依頼。委員会は被告や親族らとの面会を経て、被告の知能指数(IQ)や、本人の特性に合わせた施設での支援案などをまとめた報告書を作成した。
検察側はこの日の論告で、「刑事責任能力があり、身勝手な動機に酌量の余地はない」としながらも「具体的な福祉支援策が提示され、すでに実行に移っている」と情状面を酌む意見も陳述。「懲役1年」の実刑を求める一方で、「執行猶予を付する場合は保護観察を付けるべきだ」と異例のコメントも付け加え、裁判官がプロジェクトにのっとった判決も選択肢に入れられるよう配慮した。
地検の立石英生次席検事は「全国に先駆けたリーディングケースになったのではないか。成功例となるよう、被告の更生を見守っていきたい」とコメントした。
浜井浩一・龍谷大教授(犯罪学)の話 「再犯防止の観点に立ち、福祉の助けを受けるという前提での執行猶予付き判決は大いに意味がある。累犯障害者に対して単に刑罰を科すだけでは根本的な問題解決に至るとは考えにくい。検察庁と福祉の専門家らが連携し、累犯障害者に必要な福祉の助けを考えて効果的に施すことは、再犯防止の新たな可能性だ。有意義な取り組みで、全国的な広がりを期待したい」
(2013年9月14日 読売新聞)
大津プロジェクトは、知的障害があり、犯罪を繰り返す「累犯」傾向の容疑者や被告に対し、捜査・公判段階から福祉の専門家が積極的に関与し、再犯防止とともに社会内での更生を目指す点に特徴がある。
検察官や弁護人の依頼を受け、精神科医や臨床心理士などでつくる「障がい者審査委員会」が、障害の程度や犯罪を起こした経緯などを調査し、支援対策案を追記して公判前に報告する。
この被告のケースでは、地検が昨年12月の在宅起訴後、県障がい者審査委員会に調査を依頼。委員会は被告や親族らとの面会を経て、被告の知能指数(IQ)や、本人の特性に合わせた施設での支援案などをまとめた報告書を作成した。
検察側はこの日の論告で、「刑事責任能力があり、身勝手な動機に酌量の余地はない」としながらも「具体的な福祉支援策が提示され、すでに実行に移っている」と情状面を酌む意見も陳述。「懲役1年」の実刑を求める一方で、「執行猶予を付する場合は保護観察を付けるべきだ」と異例のコメントも付け加え、裁判官がプロジェクトにのっとった判決も選択肢に入れられるよう配慮した。
地検の立石英生次席検事は「全国に先駆けたリーディングケースになったのではないか。成功例となるよう、被告の更生を見守っていきたい」とコメントした。
浜井浩一・龍谷大教授(犯罪学)の話 「再犯防止の観点に立ち、福祉の助けを受けるという前提での執行猶予付き判決は大いに意味がある。累犯障害者に対して単に刑罰を科すだけでは根本的な問題解決に至るとは考えにくい。検察庁と福祉の専門家らが連携し、累犯障害者に必要な福祉の助けを考えて効果的に施すことは、再犯防止の新たな可能性だ。有意義な取り組みで、全国的な広がりを期待したい」
(2013年9月14日 読売新聞)