障害者の成年後見制度利用支援事業で、道内の多くの自治体で対応の不備が明らかになった。障害者を支援する関係者は「弱者が苦しむ」と是正を求める。
道によると、道内には2012年度末現在、知的障害者と精神障害者が計8万7千人いる。関係者によると、職に就くのが難しく、身寄りがなくなれば、生活困窮に陥りやすいという。道内の12年度の助成は34件だったが、北海道社会福祉士会の清野光彦副会長は「事業を必要とする人はもっと多い」と話す。
道央の障害者施設の元管理者も「利用が伸びないのは、自治体が支援事業を周知していないからだ」と指摘。実際、成年後見人がいないなどの理由でヘルパーサービスなどの契約を結べず、精神状態が悪化する障害者もいるという。
要綱を設けていても、助成の可否を厳しく判断している自治体もある。
知的障害と精神障害を抱え、生活保護を受ける独居男性の後見人となっている札幌市内の社会福祉士は昨年5月、12万円の報酬助成を市に申請したが、同12月に却下された。
札幌市は要綱で生活保護受給者を助成対象としているが、助成額は別途、事務取扱要領で「(後見人に支払う)報酬から被後見人の財産を差し引いた額」と規定。当時、男性が保有していた現金約31万円を「財産と認定」(障がい福祉課)し、報酬を支払えると判断。却下したという。この社会福祉士は、現金のうち約24万円が男性の入院関連費として入金された生活保護費で、残りも光熱費などの生活必需費用と説明したが、認められなかったという。結局、報酬を本人に請求せず、無償で後見を続けることになったが、「最低限度の生活を送る人にさらなる負担を求める市の判断は、支援事業の意義を失わせる」と憤る。
最低限度の生活費を考慮せずに「財産」を評価している現状について、札幌市は取材に対し「よりよい助成の方法を考えたい」と述べたが、具体的方針は示さなかった。
(03/24 10:06、03/24 11:12 更新)北海道新聞
道によると、道内には2012年度末現在、知的障害者と精神障害者が計8万7千人いる。関係者によると、職に就くのが難しく、身寄りがなくなれば、生活困窮に陥りやすいという。道内の12年度の助成は34件だったが、北海道社会福祉士会の清野光彦副会長は「事業を必要とする人はもっと多い」と話す。
道央の障害者施設の元管理者も「利用が伸びないのは、自治体が支援事業を周知していないからだ」と指摘。実際、成年後見人がいないなどの理由でヘルパーサービスなどの契約を結べず、精神状態が悪化する障害者もいるという。
要綱を設けていても、助成の可否を厳しく判断している自治体もある。
知的障害と精神障害を抱え、生活保護を受ける独居男性の後見人となっている札幌市内の社会福祉士は昨年5月、12万円の報酬助成を市に申請したが、同12月に却下された。
札幌市は要綱で生活保護受給者を助成対象としているが、助成額は別途、事務取扱要領で「(後見人に支払う)報酬から被後見人の財産を差し引いた額」と規定。当時、男性が保有していた現金約31万円を「財産と認定」(障がい福祉課)し、報酬を支払えると判断。却下したという。この社会福祉士は、現金のうち約24万円が男性の入院関連費として入金された生活保護費で、残りも光熱費などの生活必需費用と説明したが、認められなかったという。結局、報酬を本人に請求せず、無償で後見を続けることになったが、「最低限度の生活を送る人にさらなる負担を求める市の判断は、支援事業の意義を失わせる」と憤る。
最低限度の生活費を考慮せずに「財産」を評価している現状について、札幌市は取材に対し「よりよい助成の方法を考えたい」と述べたが、具体的方針は示さなかった。
(03/24 10:06、03/24 11:12 更新)北海道新聞