3月上旬の土曜日の昼下がり、大阪市内の公園で音楽が鳴ると同時に、車いすに乗った人、つえをついた人、そうではない人がリズムに合わせて足を踏み鳴らし、全身を震わせた−。不特定多数の人たちが公共の場に突如現れて“実行”後、すぐに解散する「フラッシュモブ」を繰り広げる大阪の障害者、健常者グループが発足。実行するパフォーマンスが居合わせた人々の目を引いている。グループの思いに迫った。
■ファンキー
パフォーマンスを行ったのは、身体、知的、精神の障害者と健常者によって構成する「チームバリアフリー」。『“No border”心のバリアフリー』を合言葉に、公共の場所で突然パフォーマンスをするフラッシュモブを展開する面々だ。
きっかけは、テレビ番組の企画。昨年11月に障害者によるフラッシュモブが行われると、参加者から「1度の企画で終わるのはもったいない」と声が上がり、今年に入ってチームが結成された。現在、健常者を含めて約30人が登録している。
キャプテンは、自身も広汎性発達障害の元村祐子さん(43)=大阪市平野区=。「ダンスを通じて障害を個性だと思われるようになりたい」と話す。振り付け担当は、コンテンポラリーダンス団体のNPO法人「DanceBox(ダンスボックス)」に所属するくはのゆきこさん。「ファンキーでクール。かっこいいモブ」を目指している。
今年1月に発足し、2月に2回の練習を経て、大阪市内の中之島公園と市役所前、扇町公園の3カ所で本番に臨んだ。
冒頭の場面がそれだ。偶然居合わせた人はしばし立ち止まり、遠巻きに見ていた。音楽が終わるとメンバーは何事もなかったように散らばった。その間、約3分。そして、いつもの風景が戻った。
周囲の反応は薄かったが、メンバーは「楽しかった」と晴れやかだった。
■壁をなくす
一くくりに障害者と言っても、身体、精神、知的と違い、互いの交流はないに等しい。身体障害でも視覚、聴覚、脳性まひ、四股障害と障害の内容は多岐にわたる。「食事会を企画しても店選びから大変。同じ障害者でも知らないことが多い」と元村さん。“バリアフリー”は障害者と健常者だけではなく、障害者同士の壁をなくすことも意味している。
元村さんが広汎性発達障害と診断されたのは、39歳の時。それまでは障害に対して無関心だった。なぜ無関心だったのかと自問し、周囲に障害者がいなかったからだと気付いた。
ステージで発表するのではなく、不特定多数がいる場所でのフラッシュモブを選んだのは「インパクト」とともに、社会の中の障害者の存在を示したかったから。
「最初はびっくりしてもらうだけでいい。でも、一緒になってやっているところを見てほしい。そして一人でもやりたいと思ってくれたらうれしい」と元村さんは願っている。
【メモ】チームバリアフリーは現在、障害の有無、内容に関係なくメンバーを募集中。ホームページはhttp://team−bf.zombie.jp/index.html
![]()
大阪市の中之島公園でフラッシュモブを繰り広げるメンバー(チームバリアフリー提供)
2014年3月28日 大阪日日新聞
■ファンキー
パフォーマンスを行ったのは、身体、知的、精神の障害者と健常者によって構成する「チームバリアフリー」。『“No border”心のバリアフリー』を合言葉に、公共の場所で突然パフォーマンスをするフラッシュモブを展開する面々だ。
きっかけは、テレビ番組の企画。昨年11月に障害者によるフラッシュモブが行われると、参加者から「1度の企画で終わるのはもったいない」と声が上がり、今年に入ってチームが結成された。現在、健常者を含めて約30人が登録している。
キャプテンは、自身も広汎性発達障害の元村祐子さん(43)=大阪市平野区=。「ダンスを通じて障害を個性だと思われるようになりたい」と話す。振り付け担当は、コンテンポラリーダンス団体のNPO法人「DanceBox(ダンスボックス)」に所属するくはのゆきこさん。「ファンキーでクール。かっこいいモブ」を目指している。
今年1月に発足し、2月に2回の練習を経て、大阪市内の中之島公園と市役所前、扇町公園の3カ所で本番に臨んだ。
冒頭の場面がそれだ。偶然居合わせた人はしばし立ち止まり、遠巻きに見ていた。音楽が終わるとメンバーは何事もなかったように散らばった。その間、約3分。そして、いつもの風景が戻った。
周囲の反応は薄かったが、メンバーは「楽しかった」と晴れやかだった。
■壁をなくす
一くくりに障害者と言っても、身体、精神、知的と違い、互いの交流はないに等しい。身体障害でも視覚、聴覚、脳性まひ、四股障害と障害の内容は多岐にわたる。「食事会を企画しても店選びから大変。同じ障害者でも知らないことが多い」と元村さん。“バリアフリー”は障害者と健常者だけではなく、障害者同士の壁をなくすことも意味している。
元村さんが広汎性発達障害と診断されたのは、39歳の時。それまでは障害に対して無関心だった。なぜ無関心だったのかと自問し、周囲に障害者がいなかったからだと気付いた。
ステージで発表するのではなく、不特定多数がいる場所でのフラッシュモブを選んだのは「インパクト」とともに、社会の中の障害者の存在を示したかったから。
「最初はびっくりしてもらうだけでいい。でも、一緒になってやっているところを見てほしい。そして一人でもやりたいと思ってくれたらうれしい」と元村さんは願っている。
【メモ】チームバリアフリーは現在、障害の有無、内容に関係なくメンバーを募集中。ホームページはhttp://team−bf.zombie.jp/index.html

大阪市の中之島公園でフラッシュモブを繰り広げるメンバー(チームバリアフリー提供)
2014年3月28日 大阪日日新聞