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苫小牧市社協に権利擁護支援センター誕生 2市営住宅団地をモデルに孤立化解消へ

 苫小牧市社協市民相談所に、権利擁護支援センターが誕生した。高齢者や障害者、子育て世帯の孤立化や権利侵害を防ぐため、認知症の人や障害者の日常生活を支援する従来の事業に加え、財産管理や各種契約を行う「法人後見」事業や、支援を必要とする世帯を地域で支える住民ネットワークづくりに乗り出す。桜井宏樹センター長は「各事業を連動させながら、困っている人を支え合う地域づくりを進めたい」と話す。

 市社協はこれまで、道社協の委託を受け、日常生活自立支援事業を進めてきた。同事業は高齢者や認知症の人、精神や知的障害者などの金銭管理や福祉サービス利用援助、預貯金通帳などの預かりサービスを生活支援員が有償で行うもので、現在31人の市民が制度を利用している。

 市社協市民相談所の三河敏規所長によると、利用者の中には悪徳商法や強引な勧誘などで必要のない物の購入契約をしてしまう人も多いという。しかし、生活支援員は契約の取り消し権を持っていないため契約の取り消しは本人が行わねばならず、「制度上の大きな壁を感じていた」という。さらに、認知症状が進むなどして判断力が一層低下し、この支援事業の活用も難しくなる人も出てきているという。

 このため、市社協はより実態に即した支援を目指し、判断能力が不十分な人に代わって財産管理や各種契約、契約の取り消しなどを行う「法人後見」事業に乗り出すことを決めた。取り組み初年度は、日常生活自立支援事業を利用している人の中から対象者を絞り、法人後見事業への切り替えを働き掛ける考え。

 また、同センターでは高齢者や障害者、育児世帯などの孤立化を防ぐために、住民同士の見守りネットワーク構築を図る「あんしん生活サポート事業」も新規事業に盛り込んだ。今年度は、若草町に新設された市営住宅と大成町の市営住宅各1棟をモデルとして実施する。

 事業について住民に説明した後、生活上で困っていることや必要な支援、逆に困っている人に自分がどのような手助けができるかなどを問うニーズ調査を実施。その後、困りごとの相談を受ける「生活相談員」や、高齢者などの見守りや声掛け、ごみ出しや蛍光管の交換などを手伝う「あんしん生活サポーター」を有志の住民で組織する計画だ。

 桜井センター長は「社会全体で周りへの無関心が広がり、高齢者や障害者の孤立死、児童虐待など悲惨な問題が増えている」と指摘、「国の制度が充実しても、それを十分に生かすためには地域力という基盤が必要。互いに支え合う地域意識を高め、誰もが住みなれたまちで安心して暮らし続けられるようにしたい」と話している。

苫小牧民報  (2014年 4/8)

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