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Channel: ゴエモンのつぶやき
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会社を障害者に合わせる

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 東京・西新宿の雑居ビルにある「まるみ名刺プリントセンター」には社長以下8人のスタッフのうち、知的・精神障害者が3人いる。

 社長の三鴨岐子さん(45)の考え方は実にシンプルだ。「採用したら、たまたま障害があっただけ。みな能力が高く、見習うところが多い人材です」

 窓口対応やレイアウト、印刷――。分け隔てなく仕事を任せている。「障害者手帳を持っているかどうかは、仕事の出来栄えと関係ない。好不調の波があるのは健常者も障害者も一緒です」と話す。

 睡眠障害に悩むなど、確かに体調に波が出やすい面はある。でも、それは人を会社に合わせるのではなく、会社を人に合わせることで解決できる。朝が得意な人は「早出」、そうでない人は「遅出」の勤務にし、遅刻も問題にしない。

 「みんな仕事がしたくてここにいる。遅刻には理由があるはず。周囲から『緩い会社』と思われようとも、従業員のやる気を信頼しています」と言い切る。

 名刺は企業から大量受注した方が効率が良いが、2008年のリーマン・ショックを境に、客層は個人商店や個人が多くなった。そこで、「小さな会社だからこそできるやり方」に活路を求めている。氏名や社名を入れ替えるだけで作成できる「ひな型」は持たない。その分、名刺で何を表現したいかを顧客にじっくり聞きながらデザインを決めていく。そんな丁寧な手法が好評だ。

 障害を持つ人を雇用するようになって8年。彼らが大きな戦力になるという実感を年々強めている。「なにしろ真面目。たとえば、こちらが仕事を先送りしようとしても、絶対許してくれませんから」と笑う。

 東京中小企業家同友会の理事も務めており、休日出勤も少なくない。多忙の合間を縫って、障害者雇用を実践する経営者として、月1回のペースで講演活動もこなす。

 「障害を持つ人と働くのは、特別なことでも大変なことでもありません。そのことを多くの経営者に知ってほしい」

【朝】楽しくヘルシー弁当作り

 子どもが3人いる。毎日午前5時に起き、給食のない高3の長男と中3の長女、自分の弁当を作る=写真=。

 実は、弁当作りは1年ほど前まで夫の仕事だった。長男の出産時から産後うつが続き、その後も自律神経のバランスが崩れたため、早起きできなかったからだ。ところが、その夫が単身赴任に。

 「最初はノルマでしかなかったのですが、続けているうちに、だんだん楽しくなってきた」という。レシピ本は参考にせず、すべて自己流。冷凍食品は一切使わず、ご飯には玄米を混ぜ、野菜をふんだんに使ったヘルシー弁当だ。高3の息子には少々物足りないようだが、中3の娘には大好評という。

 気づけばワクワクしながら翌朝の献立を考えている。「不思議と体調もよくなってきた」。弁当作りは、多忙な日々のリフレッシュタイムでもある。

【道具】歩きやすく営業成果アップ

 名刺の配達は、営業もかねて社長自ら行う。日中は外に出ることが多いため、靴にはこだわっている。

 5年ほど前から愛用しているのが、ニューバランス社のヒールがないタイプの靴=写真=だ。素材が柔らかくて爪先がゆったり。履き心地が抜群にいいという。

 爪の先端が皮膚に食い込む「巻き爪」で苦労してきた。無理をしてハイヒールを履いていた時期には、爪先を傷めて出血してしまうことも。「もう1軒ぐらい回れるけど、足が痛い」と泣く泣く営業を中断した経験もある。

 だが、この靴に出会いフットワークが断然軽くなった。「ヒールがないのに、おしゃれに見える」のも気に入っている。色違いを常時2足は用意し、1足がダメになったら、1足買い足す。「いくら歩いても疲れないので、営業の成果も上がっています」

みかも・みちこ

 1968年、埼玉県生まれ。桜美林大卒業後、91年からリース会社で約5年間勤務し、出産のため退職。96年、父親が起こした「まるみ名刺プリントセンター」に入社、2006年から社長を務める。

2014年07月07日 08時00分 Copyright © The Yomiuri Shimbun

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