宿泊・飲食サービス業に障害者の職場を拡大しようと、堺市の国際障害者交流センター(ビッグ・アイ)が府の委託を受け、障害者に接客などを体験してもらう職場体験を始めた。来年3月までに約50人が最長1カ月、センター内のホテルやレストランで業務を学ぶ内容で、センターの担当者は「実体験が職場での活躍につながれば」と期待している。
センターは「国連・障害者の10年(1983〜1992年)」を記念し、平成13年、国が堺市南区に設置した多機能施設。
平成28年度から障害者の雇用の場拡大などを目指す「障害者差別解消法」が施行されることも踏まえ、今回の職場体験を企画した。
障害者の雇用率は、宿泊業・飲食サービス業が他の業種に比べて低いとされる。
厚生労働省の昨年6月時点の調査によると、障害者の業種別の雇用率は、宿泊業・飲食サービス業が1・68%で、業種全体の雇用率(1・76%)よりも低い。
医療・福祉(2・05%)や金融業・保険業(1・83%)、製造業(1・86%)、農・林・漁業(1・83%)と比較しても、低迷しており、こうした状況を改善するのが狙い。
職場体験は、府内の大学や高校、特別支援学校などに在学・在籍している10〜30代が対象。順次、センター内のホテルやレストランで、フロント業務やイベント運営などを現場のスタッフから学んでいる。
レストランでは、手にトレーを持ち、客から注文を受ける業務にも取り組んだ。スタッフは、トレーの持ち方や皿の出し方などを細かく指導した。
参加した聴覚障害者のプール学院大4年、中尾春佳さんは「相手の口の動きは読めますが、耳が聞こえないので、最初はどこまでやれるか不安でした。お客さまに『ありがとう』と言ってもらい、自信になりました」と話していた。
センターの坂谷惠司副館長は「障害者自身に経験を深めてもらい、宿泊・飲食サービス業界が雇用したいと考える人材を育てたい」としている。
2014.9.26 07:05 MSN産経ニュース