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Channel: ゴエモンのつぶやき
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共に働く喜びを 障害者雇用支援月間

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 9月は障害者雇用支援月間。企業や官公庁に一定割合の障害者雇用を義務付ける「法定雇用率」が昨年4月に引き上げられた。障害のある人が働く現場を取材した。

 「発送作業 県政だより」「会場設営 11時〜 講堂」−。鳥取県庁3階の集中業務課ワークセンターのホワイトボードが、その日行う作業で埋まっている。「急な仕事も入って作業が詰まっています。でもいつも通り、正確にね」と、担当の山田智子現業職長が朝のあいさつをした。ひときわ大きな声で返事をする男性は、勤務3年目の福田謙さん(21)=鳥取市=だ。

 県が知的障害者などの雇用促進や民間企業への就労支援を目的に、2007年の試行設置から始めたセンターは8年目。当初3人だったが、今や本庁、中西部総合事務所なども含め12人が勤務する。

 「始めたころは文書のスタンプ押しも失敗が多かった」と福田さん。今では正確さに加え、どう効率よく作業するかも考えられる。文書が入った封筒のテープ貼りでは、10部くらいまとめてのりしろを折ってくせ付けし、少しずつずらして貼っていく。慣れた手つきだ。それでも「早く終えて予定を見ても、次に何するか判断に迷うときがある」と言う。

変わる障害者雇用

 鳥取労働局によると、障害者特性を踏まえた雇用管理は、事業主側が課題や不安に挙げる一つ。雇用前後、必要な配慮や本人に効果的な声掛けなどが企業に伝わるよう、関係機関が連携する。

 センターも気を配っている。山田職長は急な予定変更が苦手な人には作業を変えることが可能か聞き、作業内容を分かりやすく掲示。納期が急な案件は、得意な人に集中作業してもらうこともある。

 これまでセンターは民間の一般就労を目指す「チャレンジ雇用」(最大2年間)だったが、本年度から非常勤職員同様に通算5年度までの再任用を可能にする一般就労に変わり、年1回の人事評価制度も組み込まれた。集中業務課の上杉昌弘課長補佐は「モチベーションや、より良い業務遂行につながってほしい」と見守る。

 障害者の雇用を義務付ける法定雇用率は、2013年度から地方公共団体は0・2ポイントアップして2・3%になった。14年の県の法定雇用率は2・65%。県人事企画課は「単に数値を達成すればいいとは捉えていない。センターのありようの変化も、さらに高めていこうとする表れ」と強調する。

信頼されてきた

 「失礼します、ワークセンターです」。てきぱきと担当の部署を回って文書集配していると、顔見知りの職員に「お、きょうも早いな」と声を掛けられた。うれしそうな表情の福田さんのやりがいは「いろんな仕事が来る時」だ。新たな部署や仕事が増えると信頼されてきたと感じる。

 「両親が定年退職するまでに、センターの経験が生きる(正社員の)就職をして、もっと安心させたい」。少しでも幅広く次の道を探せるようにと、丁寧に仕事をこなす毎日だ。

文書集配に庁舎内を回る福田さん(左)。取り組む仕事の内容も増え、やりがいを感じる=鳥取県庁

2014年9月26日    日本海新聞


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