相模原市中央区相生に4月、民家を改修した障害者施設がオープンする。この民家の改修設計にボランティアで取り組んでいるのが、芝浦工大豊洲キャンパス(東京都江東区)大学院で建築工学を専攻する学生たち。「障害者だけの限られた施設にとどまらず、近隣住民や子供たちにも開放した地域活性化の拠点にしたい」と張り切っている。
施設は、社会福祉法人「アトリエ」(磯部伸之理事長)が手がけるもので、障害者がさまざまな人たちと交流し、地域社会で自立した生活を営むことができるよう支援することを目指す。施設として築45年の木造2階建て民家(延べ床面積約101平方メートル)を使用するが、民家は外観も部屋も古く、大幅な改修が必要だった。
改修にあたり、同社会福祉法人のメンバーで、近くに住むアートディレクターでデザイナーの有井慎さん(28)が、プロジェクトのリーダーとしてデザインを担当。有井さんの知人で、同大学院でまちづくりなどを研究する田中直人さん(24)=修士課程2年=の紹介で、静岡県東伊豆町で古民家再生の経験を持つ守屋真一さん(24)、荒武優希さん(23)、門井慎之介さん(23)=いずれも建築工学専攻修士課程1年=の3人が改修設計を担当することになった。
守屋さんらは昨年夏、施設となる民家を2回訪れ、建物の構造や強度を調査。今月15日には豊洲キャンパスで、有井さんとともに改修作業を詰める打ち合わせをした。
完成する施設には、藍染めや機織り、茶の湯体験のアトリエ、作品展示のギャラリー、カフェのあるスタジオなど、地域住民と交流するパブリックスペースを用意する。有井さんは「スタジオには絵本や芸術関係の本を集めた図書館を設け、無償で貸し出す。茶室も設け、着付け体験や和三盆などのモノづくりや展示の場の交流スペースになる。年齢や階層を超え、互いに生きる喜びを得られる場になればいい」と語った。
毎日新聞 2015年01月26日 地方版