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Channel: ゴエモンのつぶやき
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どこまで介入? 障害者虐待防止法1カ月

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 障害者への虐待を早期に見つけ、保護や支援につなげる「障害者虐待防止法」が施行して1カ月。佐賀県内の市町に設置された通報窓口「虐待防止センター」には、10件(10月末現在)の相談が寄せられた。命に関わる重大事案はなかったが、センターからは虐待の判断や関わり方をどうすべきか、不安の声も上がっている。

 県によると、虐待と疑われる相談は佐賀市6件、武雄市3件、みやき町1件。内容は身体的1件、心理的4件、経済的1件、重複(暴力と暴言)2件、ネグレクト1件、その他1件だった。

 市町のセンターが通報内容を調査したところ、家族同士の口げんかや本人の誤解、病気悪化による精神面の不調などがほとんど。被害者の命を守るために家族の許可を得ずに家庭に入る立ち入り調査は実施せず、通常の訪問相談で対応した。

 ただ、高齢の父親から髪をつかまれてなじられた身体障害者など経過観察中の事例が数件あり、担当課は「エスカレートして虐待にならないか、注意深く見守りたい。父親が認知症の可能性もある」として支援策を検討している。

 法律には本人の保護だけでなく、虐待した家族の支援も盛り込まれている。介護の負担軽減や専門家の支援で改善するケースがあり、佐賀、武雄両市の担当者は「家族から引き離すことが当事者にとって必ずしも幸せではないだけに、どこからが虐待か、どこまで介入するかの判断で悩む」と難しさを指摘する。

 通報窓口については、佐賀市や多久市など6市3町は民間団体に委託、伊万里市や鳥栖市など4市7町は担当課が兼務している。夜間や休日の通報は担当者の電話に自動転送されるか、宿直の警備員が受けて担当者に連絡している。

 課題は業務の負担増と国の予算の後押しが少ない点。みやき町は担当課4人が通常業務をこなしながらセンター業務に取り組んでおり、「今回、通報を受けて関係者に話を聞くだけで数週間かかった。件数が増え、深刻な事案が発生したら日常業務に影響が出かねない」と不安を口にする。

 人件費は、国が夜間・休日対応分の半額を助成するだけで、県障害福祉課は「直営、委託ともに現場の人員はぎりぎり。制度を機能させるため、体制を整えるべき」と予算拡充を要望する方針だ。

2012年11月06日更新

障害者虐待防止法を紹介するパンフレットを作成した佐賀市。関係者や市民に制度の概要を説明している

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