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硬式ボール:知的障害者が修繕、球児に好評 NPO支援

 硬式野球ボールの修繕を知的障害者らの就労に生かす取り組みが広がっている。京都府宇治市や神奈川県座間市など、4カ所の福祉施設で行っており、修繕数は月4000球以上。全国の高校や大学など22チームから発注があり、中には今春のセンバツに出場する高校もある。「エコボール」と呼ばれ、球児らが道具を大切にするようになると好評で、取り組みを呼びかけるNPO法人は「障害者の就労に課題を抱える被災地を含め、地域ごとに取り組んでもらえるようノウハウを制度化したい」と話している。

 NPOは宇治市の「就労ネットうじ みっくすはあつ」(西山治理事長)。取り組みは09年に始めた。

 同NPOが運営する宇治市の作業所では、19〜57歳の男女8人がエコボールを手掛けている。糸が切れたボールに真新しい糸を縫い込み、1時間に1人5〜6球を「再生」させる。1球50円で請け負い、全額が作業者の報酬となる。完成品は手渡ししており、作り手の女性(25)は「球児から『きちんと縫ってあるので使いやすいです』と言われた時はうれしい」と話す。

 通常、糸が切れたボールはテープを巻くなどして補修する。だが、試合では使えず、トスバッティングなどの打撃練習用に限られる。一方、縫い目を修繕すれば普通のボールと同じように実戦練習で再利用でき、寿命は3〜4倍程度延びるという。硬式野球ボールは練習用でも1球500円程度と高価なため、節約にも一役買っている。

 同NPOには現在、京都府や大阪府、和歌山県の高校など18チームからボールが持ち込まれる。この中から、甲子園出場校も生まれた。3月22日開幕の第85回記念選抜高校野球大会に初出場する京都翔英(宇治市)で、3年前から依頼を続けていた。修繕後のボールを手にした選手らは「こんなにきれいに縫えるのか」と驚くとともに、バットやグラブなどを丁寧に手入れするようになり、トンボなどの備品も修理して使うようになったという。野球部の太田弘昭監督(40)は「物を大切にする心が根付き始めている。施設の方の優しい思いを力に変えたい」と話している。

 取り組みは、プロ野球・横浜や阪神の元投手で、コンサルティング会社を経営する大門(だいもん)和彦さん(47)が発案。高校時代、野球部員で修繕していた経験を思い出し、交流のあった同NPO管理責任者の小畑治さん(43)に提案した。小畑さんは「障害者らが心を込めて作った思いを受け止めてもらい、物を大切にする気持ちを育んでほしい」と話した。

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手作業で新しい糸が縫い込まれ「再生」されていくボール=京都府宇治市で2013年2月15日

毎日新聞 2013年02月23日 15時57分(最終更新 02月23日 16時12分)

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