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障害者支援4億円消えた 景気優先で冷遇

 文部科学省が、障害者の大学教育支援のために要望していた予算四億四千万円が、二○一三年度予算案から削除された。この予算は民主党政権時の昨年九月、同省が概算要求。政権交代後のことし一月にやりなおした概算要求でも同額を求めていたが、財務省に認められなかった。安倍政権は景気対策を最重視、一二年度補正予算案と一三年度予算で計約七兆七千億円を公共事業に充てているが、経済浮揚にあまり結びつかない障害者施策には熱心さが足りないことが浮き彫りになった。 (城島建治)

 認められなかった予算は「障害学生修学支援拠点形成事業」。身体障害や発達障害などのある学生が大学受験しやすいように配慮、入学後は授業を受けやすい環境を整備して就職支援も手厚くするという新規事業だった。

 初年度は十大学程度を拠点校に指定。周辺大学に施設整備や教材開発について助言させるため、財政支援を強化する方針だった。だが同省学生・留学生課によると、予算編成の段階で「十分な予算がない」などの理由で財務省から認められなかった。同課は「ほかの事業費をやりくりして、修学支援を行うが、いくら確保できるか、現時点で見通しは付いていない」としている。

 十八歳未満の全人口に占める障害者の割合は約2%だが、日本学生支援機構によると、障害がある学生の数は一一年度で約一万人で、全学生の0・3%にとどまっている。国の支援の必要性が指摘されてきた。

 障害のある学生を支援する民間の「全国障害学生支援センター」の殿岡翼代表は「事業費削除は残念だ。大学改革を掲げる安倍政権には、障害のある学生の修学を含めた、特色ある大学づくりを進めてほしい」と話す。

◆我慢強いるの論外

 障害者政策に詳しい慶応大の岡原正幸教授(社会学)の話 安倍政権が公共事業に膨大な予算をつぎ込むのは、経済浮揚を最優先しているから。経済効率性ばかり考え、障害者へさらに我慢を強いるのは論外だ。

(TOKYO Web)

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