Quantcast
Channel: ゴエモンのつぶやき
Viewing all articles
Browse latest Browse all 17470

東日本大震災 女性の視点/復興の主役として表舞台に

$
0
0
 東日本大震災は、この国がもともと抱えていた矛盾や弱点を白日の下にさらした。男性主導の社会・経済構造もその一つ。女性や子ども、障害者ら災害弱者が受けたダメージは特に大きかった。
 「決める うごく 東北(ここ)から」をテーマに、「日本女性会議2012仙台」が26〜28日、仙台国際センターなどで開かれる。
 ジェンダー(社会的・文化的性差)の視点から防災の在り方を再検討し、復興の姿を模索する極めて重要なフォーラムとなる。生活者の立場に立った具体的な提言を発信してほしい。
 「着替える場所がない」「男性の目が気になって怖い」
 福島県男女共生センターの長沢涼子さんが、同県内最大規模の避難所となった「ビッグパレットふくしま」(郡山市)で、女性たちが置かれた過酷な状況を記している(『女性白書2012』日本婦人団体連合会編)。
 県庁職員から情報をキャッチした長沢さんたちは、「これは人権問題」との認識から「女性専用スペース」を設置。郡山市内の女性団体とも連携して、手厚い支援活動を展開した。
 生死を分かつような極限状況下で、女性のニーズは後回しにされがちだ。避難所の運営リーダーに女性がいなければ育児、介護などのほか、デリケートな対応が求められる心身面の不調があったとしても、沈黙を強いられよう。
 問題は発災直後だけではない。復旧・復興の局面に移行しても、女性の声は公共政策に反映されにくい。
 都市計画や交通政策、土木分野には女性職員が少なく、ジェンダーバイアス(偏り)が生じやすい。中高年女性の求職者数も沿岸部で高止まりしている。
 阪神大震災以降、全国の市民団体が防災と復興に女性の関与を増やすよう運動を続けてきたが、実態は道半ばと言わざるを得ない。とりわけ、意思決定の場への女性の参画が遅々として進んでいない。
 例えば、内閣府に設置されている中央防災会議は27人の委員中、女性はわずか2人。随時、設置される専門調査会には女性のNPO代表などが名を連ねるが、登用は限定的だ。
 沿岸部では水産業の復活が課題になっているが、ここでも女性の影は薄い。内閣府のまとめによると、女性漁協役員の割合は0.3%にとどまる。
 魚を捕るだけでなく加工、販売までを含めた6次産業化を図るのに女性の視点、技術を生かさない手はない。発想を改めるべき時だ。
 仙台市のNPO法人「イコールネット仙台」が女性被災者らを対象に行ったアンケートによると、約9割が復興計画を議論する場への女性の参画を「必要」と答えた。
 震災後、女性が社会貢献活動で見せた活躍には目を見張るものがある。復興では、生活に関わる包括的な課題解決が要求される。仙台での女性会議から、新たなアイデアと実践が生まれることを期待したい。

河北新報-2012年10月26日金曜日

Viewing all articles
Browse latest Browse all 17470

Trending Articles



<script src="https://jsc.adskeeper.com/r/s/rssing.com.1596347.js" async> </script>