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野菜工場で障害者雇用

 ◇山形の企業 ビルの一室改装

 山形市のオフィスビルの一室を改装した野菜工場が、障害者雇用の拡大という観点から注目を集めている。育苗などの世話は障害者が行い、収穫したレタスなどは、ホテルの朝食に提供されている。ビル管理会社「山形包徳」(山形市城西町)が1月から始めているもので、同社の菅井薫常務は「新たな障害者雇用の形態として広めていきたい」と意気込んでいる。

 同社は障害者の雇用に積極的で、全社員180人の1割弱が、ビルの清掃などに従事している。障害者雇用の受け皿を拡大し、自立を支えようと、数年前から農業への参入を検討。農地の複雑な取引が必要ない上、現金化に時間がかからず、1年を通して働き場所を確保できるとして、野菜工場に挑戦することを決めた。

 工場は、本社の向かいにある同市中心部のオフィスビル。その一室で、縦3メートル50、横1メートル80の棚を5段重ね、水耕栽培で野菜を育てている。光や室温、肥料の濃度などはコンピューターが制御し、生育に最適な環境が整えられている。人手が必要な収穫や育苗、植え替えなどの作業は、障害者2人が行っている。

 現在、レタスやサンチュ、ルッコラなどの葉物10種類を手がけている。3週間から1か月で成長し、1日約25株を収穫。採れた野菜は、本業でも取引のある「山形国際ホテル」(同市香澄町)で、朝食のバイキング用に提供されている。同ホテルの吉田敏雄宿泊部長は「食感が軟らかく、無農薬の安心感もある。人気メニューの一つです」と笑顔で話す。

 障害者雇用を目的とした民間企業による野菜工場の運営は、同社によると、全国で3例目、東北地方では初めてという。栽培施設の導入に1基約600万円の費用がかかるが、同社は今後、高齢者福祉施設などにも販路を広げ、8〜10人の障害者の雇用を目指すとしている。

 菅井常務は「軽作業が中心の工場であれば、障害者の従業員も一年中、安全に働くことができ、街中なので通勤にも便利だ。新たなビジネスモデルとして、地域の障害者雇用に貢献できれば」と話している。

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オフィスビルの一室に設けられた野菜工場(山形市下条町で)

(2013年3月19日 読売新聞)

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