政府は4月26日、国連障害者権利条約の批准に必要な「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律案」(障害者差別解消法案)を閣議決定し、国会に提出した。その法案の意義について、法制定に取り組む公明党障がい者福祉委員会の高木美智代委員長(衆院議員)に聞いた。
差別的扱い禁止し、求めに応じ点字、手話通訳など提供
―法案作成の意義は。
高木委員長 今回提出された法案は、障害者基本法で禁止している「障がいに基づく差別」について具体化するものです。この法案は、障がい者への差別を禁止し、障がい者の尊厳と権利を保障することを義務付けた「国連障害者権利条約」を批准するために必要な国内法整備と位置付けられています。
この権利条約は、2006年12月の国連総会において全会一致で採択され、すでに約130カ国が締結しています。しかし、日本はいまだに締結していません。このため公明党は、自民党と与党ワーキングチームを設置して協議を重ねるとともに、民主党とも折り合いを付けるなど法案作成の議論をリードしてきました。
―法案のポイントは。
高木 障がいを理由とした差別的取り扱いと、障がい者に必要な配慮や措置を講じない「合理的配慮の不提供」を禁止します。
合理的配慮とは、例えば、目の見えない人に点字などで物事を説明したり、耳が聞こえない人に手話通訳などを提供したりすることです。こうした取り組みは、障がい者本人や家族などからの求めに応じて行われます。ただ、現場に過重な負担を伴う場合は合理的配慮を行う必要はない、としています。また、この合理的配慮の提供については、国や地方自治体など公的機関に対しては義務とし、民間事業者は努力義務としました。
政府が今後、差別的な取り扱いの具体的事例や合理的配慮の好事例などを事業分野別に指針(ガイドライン)として定めます。法律の施行は国民への周知期間を確保するため、16年4月とし、施行後3年をめどに見直しを検討します。
―公明党が特に主張した点は。
高木 法案の作成に当たって公明党は、権利条約にある「私たち抜きに私たちのことを決めないで」との当事者参加の原則に基づいて、障がい者の方々と意見交換を重ねながら進めてきました。
こうした意見交換を踏まえ、法律の目的規定の中に、「障害の有無によって分け隔てられることなく」との文言を盛り込み、関係団体の「差別解消だけでなく、全ての国民が障がいの有無にかかわらず、共生できる社会の実現をめざしてほしい」との強い思いも反映することができました。また、ガイドラインなどを策定する際には、障がい当事者や関係事業者などから意見を聴くことも規定しています。
―公明党が果たしてきた役割は。
高木 公明党には、党を挙げて障がい者の差別禁止と権利擁護に取り組んできたという歴史があります。特にこの差別解消法制定を重点政策に盛り込み、党代表自ら国会で実現を訴えるなど一貫して推進してきたのは公明党しかありません。
障がい者の皆さんからは「なんとしても今国会で成立させてほしい」と要望をいただいています。成立に向けて全力で取り組む決意です。
そして、国民の皆さまの障がい者への理解を深めるとともに、お互いの人格と個性を尊重し合う共生社会を構築してまいります。
公明新聞:2013年5月11日付
差別的扱い禁止し、求めに応じ点字、手話通訳など提供
―法案作成の意義は。
高木委員長 今回提出された法案は、障害者基本法で禁止している「障がいに基づく差別」について具体化するものです。この法案は、障がい者への差別を禁止し、障がい者の尊厳と権利を保障することを義務付けた「国連障害者権利条約」を批准するために必要な国内法整備と位置付けられています。
この権利条約は、2006年12月の国連総会において全会一致で採択され、すでに約130カ国が締結しています。しかし、日本はいまだに締結していません。このため公明党は、自民党と与党ワーキングチームを設置して協議を重ねるとともに、民主党とも折り合いを付けるなど法案作成の議論をリードしてきました。
―法案のポイントは。
高木 障がいを理由とした差別的取り扱いと、障がい者に必要な配慮や措置を講じない「合理的配慮の不提供」を禁止します。
合理的配慮とは、例えば、目の見えない人に点字などで物事を説明したり、耳が聞こえない人に手話通訳などを提供したりすることです。こうした取り組みは、障がい者本人や家族などからの求めに応じて行われます。ただ、現場に過重な負担を伴う場合は合理的配慮を行う必要はない、としています。また、この合理的配慮の提供については、国や地方自治体など公的機関に対しては義務とし、民間事業者は努力義務としました。
政府が今後、差別的な取り扱いの具体的事例や合理的配慮の好事例などを事業分野別に指針(ガイドライン)として定めます。法律の施行は国民への周知期間を確保するため、16年4月とし、施行後3年をめどに見直しを検討します。
―公明党が特に主張した点は。
高木 法案の作成に当たって公明党は、権利条約にある「私たち抜きに私たちのことを決めないで」との当事者参加の原則に基づいて、障がい者の方々と意見交換を重ねながら進めてきました。
こうした意見交換を踏まえ、法律の目的規定の中に、「障害の有無によって分け隔てられることなく」との文言を盛り込み、関係団体の「差別解消だけでなく、全ての国民が障がいの有無にかかわらず、共生できる社会の実現をめざしてほしい」との強い思いも反映することができました。また、ガイドラインなどを策定する際には、障がい当事者や関係事業者などから意見を聴くことも規定しています。
―公明党が果たしてきた役割は。
高木 公明党には、党を挙げて障がい者の差別禁止と権利擁護に取り組んできたという歴史があります。特にこの差別解消法制定を重点政策に盛り込み、党代表自ら国会で実現を訴えるなど一貫して推進してきたのは公明党しかありません。
障がい者の皆さんからは「なんとしても今国会で成立させてほしい」と要望をいただいています。成立に向けて全力で取り組む決意です。
そして、国民の皆さまの障がい者への理解を深めるとともに、お互いの人格と個性を尊重し合う共生社会を構築してまいります。
公明新聞:2013年5月11日付