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「福祉による更生」を議論

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 本紙長期連載「居場所を探して−累犯障害者たち」が本年度の新聞協会賞(編集部門)を受賞したのを記念したシンポジウム「居場所のある社会とは〜累犯障害者問題を考える〜」(長崎新聞社主催)が3日、長崎市内であり、福祉行政や司法、福祉の現場の専門家らが犯罪を繰り返す障害者の更生や社会のあり方について議論した。

 累犯障害者の更生支援に先駆的に取り組む社会福祉法人南高愛隣会(雲仙市)理事長の田島良昭氏が基調講演。住む家も仕事もなく社会で孤立した障害者にとって刑務所が福祉施設化している現実に直面し「福祉がやるべきことをできていなかった。申し訳ないという気持ちから取り組みが始まった」と説明した。

 障害者の取り調べ時の専門家の立ち会いなど検察捜査に福祉の視点を取り入れた「新長崎モデル」など本県での取り組みを紹介。「司法、福祉双方の理解も広がってきている。みんなで支え合い、ともに生きる社会を」と訴えた。

 パネル討議では、田島氏のほか、厚生労働省社会・援護局長の村木厚子氏、最高検総務部長の林眞琴氏、長崎新聞社報道部の北川亮記者がパネリストとして登壇。林氏は「再犯防止に寄与するため、事案に見合った、その人にふさわしい処分を下すことは検察の目指すべき道」とし、専門家の立ち会いなどについて「本人の供述特性などを知ることは調べる側にとって重要」との認識を示した。

 村木氏は、支援する人材を育成する必要性を訴えつつ、社会の偏見から受け入れ先が少ないことを課題に挙げ「『普通の人』だと分かってもらう努力を続けていかなければならない」と述べた。北川記者は取材の過程で累犯障害者を「根っからの悪人ではなく、普通の人と感じた」として「手を差し伸べることの積み重ねで、彼らの居場所が生まれるのでは」と話した。

 市民のほか、福祉や司法関係者ら約600人が参加。「居場所を探して」は、2011年7月から12年6月まで、計7部62回にわたる連載や特集記事などで構成。障害がありながらも福祉の支援を受けられず罪を繰り返す累犯障害者に焦点を当て、当事者や司法、福祉のあり方を探った。連載をまとめ加筆した新刊が5日、出版される。


福祉行政、司法の専門家らが累犯障害者問題について意見交換したシンポジウム=長崎市、長崎ブリックホール国際会議場

(2012年11月4日更新) 長崎新聞

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