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Channel: ゴエモンのつぶやき
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障害者差別解消/社会参加支える手だてを

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 障害を理由にした差別などの権利侵害は許されない。国や自治体などの公的機関は、障害者への必要な配慮をしなければならない。こんな内容を盛り込んだ障害者差別解消法が成立した。

 民主党政権下で法整備の議論が始まったが、政権交代で中断。自民、公明両党の議員が民主党との調整に動き、成立にこぎ着けた。

 障害者の基本的人権の促進・保護などの原則を定めた国連の障害者権利条約は、世界の130カ国が批准しているが、日本はまだだ。改正障害者基本法などに続いて差別解消法が整い、ようやく国際社会の流れに追いつく道が開けた。

 バリアフリー化の不十分なまちは、車いすを使う人にとって移動すら大変だ。普通学校への入学を拒まれる、職を失わないために精神障害を公表できないなど、さまざまな問題も報告されている。今回の法整備を社会参加を促す環境づくりへの大きな一歩にしたい。

 障害者差別解消法は、役所をはじめ国公立の学校や警察などに障害者への対応を義務付けた。一方、民間企業は努力義務にとどまるが、必要に応じて政府が報告を求めて指導や勧告をし、虚偽報告など悪質なケースには過料を科す。

 ただ、具体的にどんな取り組みが必要になるのかはっきりせず、企業などには戸惑いもあるだろう。

 このため、政府は2016年4月の法施行までに具体例などを示す指針を事業分野ごとに定める。

 作家の乙武洋匡さんが車いすを理由に飲食店への入店を拒まれたとネットで公表し、さまざまな意見が飛び交った。障害者の社会生活を支えるためにどんなルールが要るか、多様な状況を想定して検討を重ねる必要がある。

 気掛かりなのは、対策で必要な費用面などの負担が「過重」になると受け止められかねないことだ。零細業者への支援など実効性のある方策を考え、障害者差別の解消という目的に向かって前進しなければならない。

 取り組みは、自治体ではすでに始まっている。そのための条例制定は、千葉県をはじめ北海道、岩手県、熊本県など全国に広がってきた。

 具体的な差別事例を検討し、障害者や企業、飲食店、公的機関の関係者などさまざまな立場の人が意見を交わし、よりよい手だてを講じていく。その過程を共有することで、障害者が生きよい社会になるよう理解を深め、支えを確かなものにしなければならない。

47NEWS- 2013/07/01 10:46

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