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東北初、障害者就労で硬式野球ボール修繕

階上町の障害福祉サービス事業所「ホープフルのぎく園」の利用者が5月から、糸が切れた硬式野球ボールを1個50円で修繕する「エコボール事業」を展開している。東北地方では初の取り組みで、依頼主の高校や大学の野球部にも「とても助かる」と好評だ。県内の福祉的就労の平均工賃は全国を大きく下回っており、施設関係者は事業が軌道に乗り、利用者の経済的自立につながれば―と期待している。
 エコボール事業は、元プロ野球横浜ベイスターズ投手の大門和彦さんの発案で、京都府宇治市のNPO法人「就労ねっとうじ みっくすはあつ」が4年前からスタート。現在は全国で6施設が手掛けている。
 インターネットで事業を知った、のぎく園の吉田立盛施設長(40)がことし3月、京都に赴きノウハウを習得。作業に必要な台などを自作、実践に移した。
 利用者はボールに防水のためのろうを塗ったり、1針ずつ表面の革を縫い合わせたりと、真剣な表情で作業。「慣れたらスピードも速くなった」「野球ファンなのでうれしい」などと、充実した様子だ。
 依頼主も道具を大切に使えると喜んでいる。練習用の硬式ボールは1個約千円。縫い糸がほつれると形がゆがんだり、水を吸ったりして飛び方も変わってしまう。
 八戸工大一高野球部の坂本諒太君(18)=3年=は「ほつれたボールはテープを巻き、一部の練習にしか使えなかった。バッティングなど大量にボールを使う練習もあるので、とてもありがたい」と笑み。八戸学院大野球部コーチの新沼舘貴志さん(32)は「これまで処分していたボールが、きれいになって返ってきて、助かっている」という。
 厚生労働省と県のまとめによると、のぎく園など就労継続支援B型事業の県の平均工賃は月額1万1千円程度で、全国平均を2600円ほど下回る。全般的に県内の福祉施設の工賃は低く、障害者の経済的自立の大きな課題となっている。
 吉田施設長は「エコボールを通じ障害がある人への理解も進むだろう。地域のほかの事業所にも取り組みを広げていきたい」と話している。
 事業への問い合わせは、ホープフルのぎく園=電話0178(88)1580=へ。
■就労継続支援事業
 2006年4月施行の障害者自立支援法(現・障害者総合支援法)に基づき、通常の事業所で働くことが難しい障害者に向けた福祉サービス。A型とB型がある。雇用契約を結び最低賃金も保障されるA型に対し、雇用契約に基づく就労が困難な障害者が対象のB型は?福祉的就労?とも言われ、生産活動で「工賃」を得る。

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【写真説明】 硬式ボールを修繕するホープフルのぎく園の利用者=12日、階上町

デーリー東北新聞社 Online Service-(2013/07/01 14:00)

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