WIPO(世界知的所有権機関)は6月28日、モロッコのマラケシュでの会合で、視覚障害者などに、より多くの著作物へのアクセスを可能とする条約が、WIPO加盟186ヶ国から集まった約800人の交渉官によって満場一致で採択されたと発表した。
「盲人、視覚障害者及び読字障害者の出版物へのアクセス促進のためのマラケシュ条約」と呼ばれる条約は、著作物の、点字本やオーディオブック、大活字本などへの変換に当たっての著作権による制限を緩和し、視覚障害者などがアクセス可能な形式の出版物の複製、頒布、および提供を許諾するような国内法を採用することを加盟国に要請するものとなっている。
条約はまた、盲人、視覚障害者、読字障害者のための組織によって、これらのアクセス可能な形式の作品の国境を越えた交換を可能とし、また、これらの機関が国境を越えて運営できるよう、権利の制限または例外を調和させる。
アクセス可能な作品の共有は、重複作業をさけ、効率を向上することで、入手可能な作品の全体数を増加させる。5カ国が同じ作品のアクセス可能なものに変換する代わりに、5カ国はそれぞれ異なる作品をアクセス可能なものに変換し、各国で共有することが可能である。
現在、どのような制限と例外を定義するかは各国政府に委ねられ、実際に、国内法での制限と例外はそれぞれ異なる。多くの国では私的利用のための複製は自由だが、ごくわずかの国が例えば遠隔学習のための例外を設けているに過ぎず、更に、そのような免除は当該国のみに適用される。
この条約はまた、著者や出版社に対して、この制度がその出版物を悪用したり、意図された受益者以外の誰かに頒布されるようなことがないような保証を提供することも目的としている。条約は、制限または例外に基づき作成された作品の国境を越えた共有は、著作物の通常の利用と抵触せず、著作権者の正当な利益を不当に損なわないよう一定の特殊事例に限定されなければならないとの要件を繰り返している。
条約は、条約の条項に拘束されることに同意する20のWIPO加盟国の批准の後、効力が発生する。
WHO(世界保健機関)によると、世界中の盲人および視覚障害者の数は3.14億人を超え、その90%は開発途上国に居住している。一方、2006年のWIPOの調査では、例えば著作権で保護された原文の点字、大活字刷、あるいはデジタル化された音声版といった視覚障害者のための特別な条項の制限や例外が著作権法に規定されている国は60ヶ国に満たないという。世界盲人連合によると、毎年世界中で出版される百万冊程度の書籍のうち、視覚障害者がアクセスできる形式で入手できるのは、5%以下だという。
知財情報局-【法規】発信:2013/07/03(水)
「盲人、視覚障害者及び読字障害者の出版物へのアクセス促進のためのマラケシュ条約」と呼ばれる条約は、著作物の、点字本やオーディオブック、大活字本などへの変換に当たっての著作権による制限を緩和し、視覚障害者などがアクセス可能な形式の出版物の複製、頒布、および提供を許諾するような国内法を採用することを加盟国に要請するものとなっている。
条約はまた、盲人、視覚障害者、読字障害者のための組織によって、これらのアクセス可能な形式の作品の国境を越えた交換を可能とし、また、これらの機関が国境を越えて運営できるよう、権利の制限または例外を調和させる。
アクセス可能な作品の共有は、重複作業をさけ、効率を向上することで、入手可能な作品の全体数を増加させる。5カ国が同じ作品のアクセス可能なものに変換する代わりに、5カ国はそれぞれ異なる作品をアクセス可能なものに変換し、各国で共有することが可能である。
現在、どのような制限と例外を定義するかは各国政府に委ねられ、実際に、国内法での制限と例外はそれぞれ異なる。多くの国では私的利用のための複製は自由だが、ごくわずかの国が例えば遠隔学習のための例外を設けているに過ぎず、更に、そのような免除は当該国のみに適用される。
この条約はまた、著者や出版社に対して、この制度がその出版物を悪用したり、意図された受益者以外の誰かに頒布されるようなことがないような保証を提供することも目的としている。条約は、制限または例外に基づき作成された作品の国境を越えた共有は、著作物の通常の利用と抵触せず、著作権者の正当な利益を不当に損なわないよう一定の特殊事例に限定されなければならないとの要件を繰り返している。
条約は、条約の条項に拘束されることに同意する20のWIPO加盟国の批准の後、効力が発生する。
WHO(世界保健機関)によると、世界中の盲人および視覚障害者の数は3.14億人を超え、その90%は開発途上国に居住している。一方、2006年のWIPOの調査では、例えば著作権で保護された原文の点字、大活字刷、あるいはデジタル化された音声版といった視覚障害者のための特別な条項の制限や例外が著作権法に規定されている国は60ヶ国に満たないという。世界盲人連合によると、毎年世界中で出版される百万冊程度の書籍のうち、視覚障害者がアクセスできる形式で入手できるのは、5%以下だという。
知財情報局-【法規】発信:2013/07/03(水)