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Channel: ゴエモンのつぶやき
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知的障害者ら選挙権回復 サポートも慎重に

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 公選法の改正で成年後見人を付けた知的障害者らの選挙権が回復し、初めての国政選挙となる参院選。佐賀県内でも約1300人(昨年末時点)が投票できるようになった。佐賀市の障害者支援施設では18日、入所している被後見人10人が不在者投票に臨んだ。全員、自力で記入できなかったため、施設職員が代筆する代理投票となった。言葉で意思を伝えられない被後見人も多く、施設側は意思を確認する質問で誘導にならないよう、公正の確保に苦慮していた。

 「誰に投票しますか」。代理投票の補助者を務める施設職員が声を掛けると、被後見人の男性は候補者名を指でさして意思を伝えた。投票した被後見人10人の意思表示の手段はさまざまで、首を振ったり、まばたきや表情だけで伝える人もいて、補助者は注意深く意思を確認しながら投票用紙に代筆した。

 施設側は入所している被後見人約110人に「選挙に行きますか」と事前に聞き取りを実施。20〜40代の10人が投票の意思を示したが、判断能力には幅がある。「後見人を付けるまで投票を欠かさず、政見放送を見ていた人もいれば、選挙の意味を十分に理解できていなそうな人もいる」(施設職員)。

 施設側は、不正防止のために改正法で努力規定となった施設職員以外による外部立会人を配置した。立会人の男性(66)は「補助者は『この候補者でいいですか』と聞かずに『誰にしますか』と尋ねるなど、誘導しないように細心の注意を払って中立性を確保していた」と評価した。

 施設の事務長(49)は「施設職員や立会人は被後見人の判断能力をチェックする立場にはない。投票の意思を示されれば、それを公正にサポートするだけ。今回は試行錯誤で取り組んだが、意思確認の方法などについてガイドラインがあってもいい」と感想を述べた。

 一方、被後見人が投票日の21日に地域の投票所に行く場合、補助者は選管職員など投票事務従事者に限定される。立会人の男性は「今回は意思疎通に慣れた施設職員が補助者だったので被後見人も緊張せずに投票できていたが、初対面の選管職員らが適切に対応できるのか不安」と懸念を示した。

 佐賀県選挙管理委員会によると、不在者投票をできる指定病院や福祉施設は県内に184カ所あるが、法改正の影響による著しい増加はみられないという。5月の法改正から短期間で外部立会人を確保できるかが課題だったが、佐賀市選管は市明るい選挙推進協議会などの協力で141人を確保、「十分な数が集まった」としている。ただ、外部立会人の配置は努力規定のため、不在者投票をした管内32カ所の指定施設のうち、配置したのは11カ所にとどまっている。

■成年後見制度

 認知症や知的障害などで判断能力が十分でない成人の財産管理や契約を手助けする制度。2000年に禁治産、準禁治産制度を廃止して導入された。公選法は後見人が付くと選挙権を失うと規定していたが、5月の改正で見直された。

佐賀新聞- 2013年07月19日更新

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