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野球硬式球を障害者が再生 新庄の就労支援会社

 山形県新庄市の障害者就労支援会社「ユニオンソーシャルシステム」が野球の硬式球の再生事業を手掛け、全国の高校や大学から注文が舞い込んでいる。障害者雇用に硬式球のリサイクルを取り入れた事業所は珍しい。開会中の全国高校野球選手権大会の出場校からも注文があるといい、ユニオン社は「業績をさらに伸ばして雇用を拡大したい」と意気込む。

 「仙台育英300球」「樟南(鹿児島)200球」−。新庄市内のビル内にある作業所には、全国の強豪校などから使い古された硬式球がコンテナごと届く。泥で黒ずんだ球は1個ずつ表皮と縫い糸がはがされ、新たな牛皮で縫い直される。
 福祉施設などを運営する同社は3年前から、「エコボール」と呼ぶ硬式球の再生に取り組む。加藤葵専務(25)は「社長の父が地元の野球関係者からニーズを聞き事業化した。全国の福祉作業所で、皮の仕入れから張り替え、縫合まで仕上げるのはおそらく当社だけ」と胸を張る。
 作業員は各工程を分担し、全て手作業で行う。ボロボロの表皮をはがすと、中の綿糸もほつれ緩くなっているので、規定の円周(22.3センチ)になるまでミシン糸できつく巻き直す。真っ白なホルスタインの皮革を赤い糸で縫合すれば、新品同様の出来栄えになる。
 再生球は、各校の野球部にとっても経費節減になる。廃棄には費用負担が伴う上、新品を買えば1球600〜1000円する。同社のリサイクル費は1球当たり230円。同社は再生のほか、甲子園大会出場や卒業記念などの文字を刺しゅうする記念球(1球1800円)も扱う。
 受注は順調に伸び、ことしは前年比3割増。月平均8000球、年間10万球以上を製造する見込み。新庄、村山、横浜各市に作業所が計8カ所あり、知的、精神、心身の各障害者計約230人の雇用につなげている。
 作業者らは野球に興味を持ち、熱戦が続く夏の甲子園大会では、自分たちの再生球で練習したチームを応援するという。
 加藤専務は「一つの作業所で1日50〜60球作れる。顧客はリピーターが多く、今後も事業を拡大して作業所を増やし、障害者の雇用を進めたい」と話している。

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糸の巻き付け、新皮の縫い付けなど、分担して硬式球を再生する作業員ら=新庄市内

河北新報-2013年08月10日土曜日

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