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身体障害者補助犬シンポジウム:心の段差、なくす努力を 理解進まぬ現状−−宝塚 /兵庫

 「なくそう心の段差」を合言葉に、宝塚市逆瀬川1の「アピア1」一帯で17日、開かれた「第22回障害者週間記念事業・第15回身体障害者補助犬シンポジウム」。補助犬使用者や厚生労働省の担当者らが、依然として理解が進まない補助犬を取り巻く課題について話し合ったほか、同市の障害者団体などによる模擬店や発表があり、多くの人でにぎわった。

 補助犬トークでは、身体障害者補助犬法が成立して11年を経ても、受け入れ拒否などが相次ぐ現状についてパネリストが言及。介助犬エルモと暮らす宝塚市の木村佳友さん(53)は「法律ができた時は『10年もたてば同伴拒否はなくなる』と考えていたが、いまだに店側から断られることがある」と話し、「法律で受け入れる義務があることを説明し、理解を得ているが、交渉力のない補助犬使用者もいる」と指摘した。

 同市のピアニスト、前川裕美さん(35)は米国留学中に出会った盲導犬グレースと計11年半、生活を共にした。4年前、死別した時、次の盲導犬を持つことを考えなかったとし、「日本で盲導犬と暮らすと、米国では起こらないような入店、乗車、宿泊拒否に遭う。そういうちょっとしたことの積み重ねで、少し疲れてしまった」と説明した。

 今年は初めて厚生労働省の担当者が参加。同省福祉用具専門官の加藤晴喜さん(45)は、障害者の社会参加を後押しする障害者差別解消法が2016年4月に施行されることについて、「行政や事業者に差別解消に向けた具体的な配慮義務が定められており、補助犬受け入れについても国民全体で受け止めてもらえるものと考えている」と述べた。

 衆院議員時代、補助犬法制定に携わった中川智子・宝塚市長は「当時、法律ができれば入店拒否がなくなると、甘く考えていた。一度は受け入れてくれたスーパーなども店長が変わると、引き継がれないこともある。小さな集まりでもいいから、機会をとらえて周知していきたい」と話した。

 トークの司会は長年、補助犬報道に携わってきた山本真也・毎日新聞編集委員が務めた。

 ◇前川さん、心込め3曲 全盲のピアニスト、失明と出産を語る

 全盲のピアニスト、前川裕美さんは3曲を披露し、この数年で経験した失明と出産という二つの大きな出来事について語った。

毎日新聞 2013年11月18日 地方版

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