福山市が社会福祉法人に50年以上貸している水呑町の市有地(約1万7000平方メートル)の一部に、明治時代に地権者117人が登記され、国内外にその相続人570人がいたことが分かった。市は取得時効が成立しているとして、所有権確定のため、6年越しで移転登記手続きを進めている。
市は、土地を1959年に社会福祉法人へ無償で貸し、同法人は知的障害者施設を建設。同法人が2007年に施設を改装する際に調べたところ、土地の一部370平方メートルは117人が1895年(明治28年)に登記した、共有地だったことが分かった。
同法人との賃借契約は締結後、5年ごとの自動更新。市の担当者は「これまで地権者からの問い合わせもなく、共有地にも気づかなかった」と話す。市によると、問題の土地は、同市と合併した旧水呑村が1922年に取得した記録があるが、村が当時村有地として登記しなかった理由は不明という。
市は4年がかりで、戸籍などから相続人を特定。その結果、相続人は福山市内に302人のほか、大阪府50人、神奈川県28人、兵庫県27人、福岡県23人、東京都22人、千葉県10人、愛知県10人など全国30都道府県にわたり、アメリカにも4人いることが分かった。なかには転居を繰り返していたり、関係者が死亡したりして、相続人が分からないケースもあった。
市は、10〜20年間、他人の物を自己の所有物だと信じ、平穏かつ公然と占有し続けた場合に占有者に所有権が与えられる、民法162条の取得時効の規定が成立していると判断している。
市は電話や手紙で、一人ひとりに事情を説明。市によると、土地の存在を知らない相続人が大半で、移転登記を拒否されるケースはない。しかし、登記手続きは相続人と共同で行い、費用も必要なため、作業は進んでいない。市は単独で手続きできるよう、協力を得られない相続人83人を今年11月に提訴した。また昨年は相続人がいない地権者22人の財産管理人を提訴し、今年5月に所有権が認められ、登記手続きを完了した。
問題の土地の評価額は約230万円。全ての移転登記を終えるには、相続人への書類郵送費や訴訟や登記手続き費用など計約1000万円かかるという。
市は「なぜ、市有地の中に一般の共有地が含まれたままだったのか、今となっては分からない。しかし、市の所有地として登記されていないことが分かった以上、放っておくわけにはいかない」としている。
(2013年12月21日 読売新聞)
市は、土地を1959年に社会福祉法人へ無償で貸し、同法人は知的障害者施設を建設。同法人が2007年に施設を改装する際に調べたところ、土地の一部370平方メートルは117人が1895年(明治28年)に登記した、共有地だったことが分かった。
同法人との賃借契約は締結後、5年ごとの自動更新。市の担当者は「これまで地権者からの問い合わせもなく、共有地にも気づかなかった」と話す。市によると、問題の土地は、同市と合併した旧水呑村が1922年に取得した記録があるが、村が当時村有地として登記しなかった理由は不明という。
市は4年がかりで、戸籍などから相続人を特定。その結果、相続人は福山市内に302人のほか、大阪府50人、神奈川県28人、兵庫県27人、福岡県23人、東京都22人、千葉県10人、愛知県10人など全国30都道府県にわたり、アメリカにも4人いることが分かった。なかには転居を繰り返していたり、関係者が死亡したりして、相続人が分からないケースもあった。
市は、10〜20年間、他人の物を自己の所有物だと信じ、平穏かつ公然と占有し続けた場合に占有者に所有権が与えられる、民法162条の取得時効の規定が成立していると判断している。
市は電話や手紙で、一人ひとりに事情を説明。市によると、土地の存在を知らない相続人が大半で、移転登記を拒否されるケースはない。しかし、登記手続きは相続人と共同で行い、費用も必要なため、作業は進んでいない。市は単独で手続きできるよう、協力を得られない相続人83人を今年11月に提訴した。また昨年は相続人がいない地権者22人の財産管理人を提訴し、今年5月に所有権が認められ、登記手続きを完了した。
問題の土地の評価額は約230万円。全ての移転登記を終えるには、相続人への書類郵送費や訴訟や登記手続き費用など計約1000万円かかるという。
市は「なぜ、市有地の中に一般の共有地が含まれたままだったのか、今となっては分からない。しかし、市の所有地として登記されていないことが分かった以上、放っておくわけにはいかない」としている。
(2013年12月21日 読売新聞)