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全従業員が障害者 田原の企業「同じ立場で」と社長

 従業員九人全員が障害者という企業が田原市にある。段ボール製品加工のINOUE FACTORY(イノウエ ファクトリー)。知的、精神、身体と九人の障害はそれぞれだが、働きがいや責任感にあふれている。

 「大洋紙業」(田原市)の関連会社で二〇一二年三月に設立された。自動車部品を収めるパレットを作っている。

 大洋紙業専務でもある社長の井上敦詞さん(37)は「障害者は何かと健常者と比較されがち。気の毒だ」と障害者の雇用にこだわる理由を話す。

 妻で取締役の幸子(ゆきこ)さんと二人が意識しているのは、自分たちから従業員の輪に入っていくこと。「仕事面では厳しく接することもあるけど、それ以外はフレンドリーに」と井上さん。頻繁に声を掛ける。

 この方針は、大洋紙業での苦い経験に基づく。重度の知的障害がある男性の仕事ぶりを何度も厳しく指摘するうち、男性は辞めてしまった。「仕事への意欲をそがないよう、彼と同じ立場に立って接する配慮が足りなかった」と今も悔やむ。

 従業員の八木俊介さん(31)には、自分の意思と無関係に別の人格が現れる「解離性同一性障害」がある。堅実な仕事ぶりが評価され、チーフ役に抜てきされた。八木さんは「働き始めるまではマイナス思考に陥ることが多かったが、周囲から必要とされるのを感じて、自信がついた」と話す。ここ二年近く別人格は出ていない。

 井上さんは「皆、性格的にも、能力的にも成長している。障害をその人の個性と捉えて、今後も応援したい」と語る。

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談笑を交えながら従業員らの仕事を見守る井上敦詞社長(右から2人目)と幸子さん(同3人目)=田原市六連町の工場で

中日新聞 : 2014年1月10日

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