◇教育が人々の意識変える
1998年長野大会で銀メダルを獲得するなど車椅子スキー選手として活躍した、ロシア・パラリンピック委員会書記長のミハイル・テレンチエフ下院議員(43)に現状と課題を尋ねた。
−−ロシアの現状は?
最大の問題は、身体障害者が外出することの難しさだ。近年、政府はバリアフリー化の国家計画を作り、各地域レベルで努力している。だが、まだまだ時間がかかる。パラリンピックのおかげで、建物の新設や改築の際にバリアフリー化を義務づける法律ができた。ロシアは正しい方向へ進んでいる。もう一つの大きな障壁は教育だ。昨年9月から教育関係の新法が施行され、(障害にかかわらず、誰でも地域の学校で学べる)「インクルーシブ教育」の概念が取り入れられた。今後、障害児の通学が当たり前になっていくと思う。そうなれば、「車椅子に乗っているかどうか」など意識しない新世代が育つ。
−−初のパラリンピック開催の意義は?
今回のような大規模イベントは、障害者への社会の対応を変える助けになる。その際には、スポーツ以外にも多彩な分野での障害者の潜在力に光を当てることが大事だ。障害児とその親には、障害者も活発な人生を送ることができると示せる。
−−ロシアで必要な法整備は?
社会がもっと責任を持つことが必要だ。障害者の人権を侵害した企業などは司法の場で弁明させる制度が求められる。今年中に、障害者権利条約の批准に関連した国内法整備の中で実現するだろう。
毎日新聞 2014年01月18日 東京朝刊
1998年長野大会で銀メダルを獲得するなど車椅子スキー選手として活躍した、ロシア・パラリンピック委員会書記長のミハイル・テレンチエフ下院議員(43)に現状と課題を尋ねた。
−−ロシアの現状は?
最大の問題は、身体障害者が外出することの難しさだ。近年、政府はバリアフリー化の国家計画を作り、各地域レベルで努力している。だが、まだまだ時間がかかる。パラリンピックのおかげで、建物の新設や改築の際にバリアフリー化を義務づける法律ができた。ロシアは正しい方向へ進んでいる。もう一つの大きな障壁は教育だ。昨年9月から教育関係の新法が施行され、(障害にかかわらず、誰でも地域の学校で学べる)「インクルーシブ教育」の概念が取り入れられた。今後、障害児の通学が当たり前になっていくと思う。そうなれば、「車椅子に乗っているかどうか」など意識しない新世代が育つ。
−−初のパラリンピック開催の意義は?
今回のような大規模イベントは、障害者への社会の対応を変える助けになる。その際には、スポーツ以外にも多彩な分野での障害者の潜在力に光を当てることが大事だ。障害児とその親には、障害者も活発な人生を送ることができると示せる。
−−ロシアで必要な法整備は?
社会がもっと責任を持つことが必要だ。障害者の人権を侵害した企業などは司法の場で弁明させる制度が求められる。今年中に、障害者権利条約の批准に関連した国内法整備の中で実現するだろう。
毎日新聞 2014年01月18日 東京朝刊