耳が不自由な人でも聞き取りやすい音での演奏会に、北陸大未来創造学部の稲山訓央( くにお)准教授(45)が取り組んでいる。演奏家でもある稲山准教授は、のこぎりをバ イオリンのように弓で弾くと鳴る独特な響きが、聴覚神経の弱い人にも伝わることを確認 した。「音楽に触れる喜びを伝えたい」と、聴覚障害者が楽しめるコンサートを計画して いる。
稲山准教授は大学時代、旅行で訪れた米国で、のこぎりを「楽器」として奏でるパフォ ーマンスを知った。片刃のこぎりの刃がない側を弓で擦って音を出す演奏方式で、最初は 趣味として、独学で習得した。
のこぎりの音の特性に気付いたのは4年ほど前だった。高齢で耳がほとんど聞こえなく なった妻の祖母の前でたまたま「荒城の月」を演奏した時、口ずさんでくれたのがきっか けだった。その後、都内のろう学校で演奏会を開くと、これまでほとんど興味を示さなか った子どもたちが、のこぎりの音に「聞こえる」「きれいな音がした」と反応した。
東大先端科学技術研究センターの分析によると、のこぎりを弾いた音は複雑な共鳴がな い「純音」に近かった。耳の不自由な人の多くは聴覚神経が弱く、複雑な音を聞き取るこ とが難しいが、純音なら識別でき、聞き取れたとみている。
稲山准教授は今年度から北陸大に着任し、昨年12月には学内で開催したクリスマスコ ンサートに、石川県立ろう学校の生徒や保護者ら35人を招待した。のこぎりで「アメー ジング・グレース」などを披露し、普段は音楽に触れることがない子どもたちに好評を博 した。
稲山准教授は演奏方法の普及にも力を入れ、今では愛好者は全国で約50人に広がった 。「今まで好きでやっていただけだが、耳の不自由な子どもたちに初めての音楽を与える ことができるなら、喜んで演奏したい」。稲山准教授は、石川県を中心に各地に出向いて のコンサート開催を目指しており、特別支援学校や施設などに呼び掛けている。
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のこぎりをバイオリンのように演奏する稲山准教授=北陸大
石川のニュース 【1月18日02時47分更新】
稲山准教授は大学時代、旅行で訪れた米国で、のこぎりを「楽器」として奏でるパフォ ーマンスを知った。片刃のこぎりの刃がない側を弓で擦って音を出す演奏方式で、最初は 趣味として、独学で習得した。
のこぎりの音の特性に気付いたのは4年ほど前だった。高齢で耳がほとんど聞こえなく なった妻の祖母の前でたまたま「荒城の月」を演奏した時、口ずさんでくれたのがきっか けだった。その後、都内のろう学校で演奏会を開くと、これまでほとんど興味を示さなか った子どもたちが、のこぎりの音に「聞こえる」「きれいな音がした」と反応した。
東大先端科学技術研究センターの分析によると、のこぎりを弾いた音は複雑な共鳴がな い「純音」に近かった。耳の不自由な人の多くは聴覚神経が弱く、複雑な音を聞き取るこ とが難しいが、純音なら識別でき、聞き取れたとみている。
稲山准教授は今年度から北陸大に着任し、昨年12月には学内で開催したクリスマスコ ンサートに、石川県立ろう学校の生徒や保護者ら35人を招待した。のこぎりで「アメー ジング・グレース」などを披露し、普段は音楽に触れることがない子どもたちに好評を博 した。
稲山准教授は演奏方法の普及にも力を入れ、今では愛好者は全国で約50人に広がった 。「今まで好きでやっていただけだが、耳の不自由な子どもたちに初めての音楽を与える ことができるなら、喜んで演奏したい」。稲山准教授は、石川県を中心に各地に出向いて のコンサート開催を目指しており、特別支援学校や施設などに呼び掛けている。

のこぎりをバイオリンのように演奏する稲山准教授=北陸大
石川のニュース 【1月18日02時47分更新】