Quantcast
Channel: ゴエモンのつぶやき
Viewing all articles
Browse latest Browse all 17470

ジビエ事業で障害者の雇用拡大目指す 長野・上田市の「まるこ福祉会」

$
0
0
 知的障害者らが働く長野県上田市の社会福祉法人「まるこ福祉会」(柳沢正敏理事長)が、来年度にもジビエ(野生鳥獣肉)事業に本格的に参入すべく準備を進めている。すでに昨年販売されたシカ肉のハンバーガーの材料を提供するなど活動しているが、早ければ来年度新たに食肉処理施設を設けて、地元で獲れたニホンジカの処理、加工、製品製造までを一体的に行い、障害者の就労機会や給料を増やすことにつなげたい考えだ。

 まるこ福祉会は平成24年11月、県が提案した「ジビエ振興と障害者就労施設との連携」に賛同して、障害者の新たな就労の場としてジビエ事業への参入を決定。同年12月、本格的な調理場を備えた障害福祉事業所「きらり」を開所し、活動を始めた。

 茅野市のフランス料理店シェフで日本ジビエ振興協議会代表の藤木徳彦さんの協力を得て、そうざい製造業や飲食店営業、食肉処理業、食肉販売業の許可を取り、シカ肉の加工、販売をスタートした。

 昨年11月には、「ジェイアール東日本フードビジネス」(東京)が首都圏で展開するファストフード店「ベッカーズ」の各店舗で、藤木さん監修の「信州ジビエ鹿肉バーガー」を販売したが、パティ(肉)とソースは「きらり」で製造。1カ月間の限定販売で、当初は8千食の予定だったが、好評だったことから2千食を追加し、合計1万食を完売した。

 上田市など東信地方には捕獲したニホンジカを処理する施設はなく、「きらり」では現在、飯田市で解体されたジビエを利用している。今年1月には食肉製品製造業の免許も得て、製品の製造、販売もできるようになった。同会が準備を進める食肉処理施設が完成すれば、地元で獲ったニホンジカの処理から製品製造までを同会で担うことができる。

 野生鳥獣をめぐっては県内で農林業への被害が相次いでいるが、処理施設のない東信地方でも同様で、対策は喫緊の課題だ。県はその捕獲を進めるとともに、肉を人気上昇中のジビエとして処理、加工し、製品製造、消費までを進める「ジビエの食のサイクル」構築を目指している。

 同会の活動はそれをさらに障害者の雇用、給料の増加につなげるというもので、その観点からは「一石三鳥」とも言える画期的な取り組みだ。

 柳沢理事長は「どうせやるならジビエの入口から出口までやりたい。それが障害者の雇用や給料の増加につながればみんなの幸せになる。ここで成功例ができれば全国で困っている福祉施設の希望になるだろう」として、本格的な事業展開に意欲を燃やす。

 藤木さんも「ジビエは東京でオシャレと受け止められるようになってきており、県内や全国各地で6次産業の形ができてきた。地域の福祉施設などと連携して製品化し、大消費地に販売できればと考えており、今回の取り組みを全国に発信していきたい」と語る。

 食肉処理施設の建設は一部地元住民の理解が得られておらず、計画通り来年度中に完成するかどうかはめどが立っていないというが、柳沢理事長は「施設建設の意義を理解してもらって何としても実現したい」と話している。

 ■まるこ福祉会 上田市長瀬2885の3。(電)0268・71・6263。平成16年3月に社会福祉法人として認可。障害者が木工品などを製作する多機能型事業所「とんぼハウス」や発芽玄米入りパンなどの製造・販売をする「パン工房とんぼ」などを運営するほか、平成24年に主に知的障害者を対象とする障害福祉サービス事業所「きらり」を開設した。


シカ肉を使ったハンバーガー用のパティ(肉)を作るまるこ福祉会の職員=上田市の障害福祉サービス事業所「きらり」

MSN産経ニュース : 2014.2.21 11:30

Viewing all articles
Browse latest Browse all 17470

Trending Articles



<script src="https://jsc.adskeeper.com/r/s/rssing.com.1596347.js" async> </script>