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知的障害ある若者採用 念願の夢へ第一歩 保育補助や総務に /奈良

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 ◇「誰もが働きやすい職場」目指し

 県立医科大(橿原市)に24日、県立高等養護学校(田原本町)を今春卒業したばかりの若者4人が採用される。知的障害がある4人は、職員用の保育園や総務課への配属が決まっており、「一生懸命に頑張りたい」とやる気をみせる。知的障害者を初めて雇用する大学側も「誰もが働きやすい職場をつくるため、支えていきたい」と意欲的だ。【矢追健介】

 「保育士になるのが夢なんです」。石原理江子さん(18)は大学に隣接する職員用の「なかよし保育園」で、保育補助の仕事を担当する。子どもたちと朝一緒に歌うのが一番の楽しみ。知的障害者の枠は一般に少なく、採用が決まった時には家族みんなで喜んだという。中学時代からの念願の夢に向かい、一歩踏み出す。

 石原さんと同じ職場になる福田菜々美さん(18)も子どもが好きだが、「人間関係が苦手」と不安を口にする。補佐する保育士の柏田麻理奈さん(22)は、正式採用前の研修をみて「最初は緊張していたが、笑顔も増え、作業も丁寧」という。

 大学では、知的障害のある人にどこまで仕事を任せられるか心配する声はあった。しかし、2012年から高等養護学校の生徒を実習で受け入れてきた実績があり、14年から知的障害のある人を採用することを決めた。

 ある時、「容器を奇麗にして」と頼まれた生徒は、その程度が分からなかったため、時間が長くかかった。次から「2回拭(ふ)いて」と回数を決めた。村田理・総務課長補佐(50)は「仕事の内容をあやふやに伝えると通じないことがあるが、明確にすれば業務改善につながる。仕事のバリアフリー化は、誰にとっても働きやすい職場につながる」と言う。

 井上光明さん(18)と杉岡大基さん(18)は総務課に配属され、大学病院内の掃除、薬の説明書や手紙を折りたたむ仕事などを担当する。電車で1時間かけて通う井上さんは「朝起きられるかな」と不安そうだが、「難しい作業もだいぶうまくなってきた。仕事が楽しい」。13年度に2回実習を経験した杉岡さんは「採用が決まってうれしかった。将来の夢はまだないけれど、まずは一生懸命頑張りたい」と話した。

 大学は今春、他に既卒者1人を加えた計5人の知的障害者を雇用する。日給を払う非正規契約で、6カ月ごとに更新。働き始めると実習で分からなかった課題が見つかる可能性もあるが、県内にある障害者就業・生活支援センターや高等養護学校などと連携して支えていくという。

 村田課長補佐は「5人が足跡を残すことで、次の世代につながればうれしい。実習や雇用を今後も受け入れ、こうした出会いを広げたい」と意気込む。高等養護学校で進路指導を担当する安井昇教諭(49)は、生徒の実習を見守ってきた。「卒業生が周囲の期待に応えている姿をみるのはとてもうれしい。周りの支援があってここまで来たことを忘れないでほしい」

毎日新聞 2014年03月24日 地方版

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