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精神障害者、地域復帰の鍵は「住居確保」- 厚労省検討会の作業チームが初会合

 厚生労働省の「長期入院精神障害者の地域移行に向けた具体的方策に係る検討会」の作業チームが8日、初会合を開いた。委員からは、長期入院している精神障害者の地域社会での受け入れを促進するためには、住居確保に関する支援が必要とする意見などが出た。

 8日の会合では、精神障害者の意向に沿った形での地域社会への復帰を促すための支援策と、精神科病院に長期入院する精神障害者の退院に向けた意欲を喚起するための具体策について、意見交換が行われた。

 地域社会への復帰を促す支援策について、千葉潜委員(青仁会青南病院院長)は、長期入院する精神障害者の中には、65歳以上で要介護認定を受けている人が相当数いると指摘。そうした人の退院を促すためにも、介護施設が医療ニーズのある精神障害者を受け入れる体制を整えたり、訪問系の介護サービスを充実させたりする必要があるとした。また、サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)や有料老人ホームなどの整備促進も不可欠としながらも、いずれも利用料が高額すぎる点を問題視。「低価格で利用できるサ高住などの整備を進めるか、障害者が利用する際には(金額的な)サポートをするなどの工夫が必要」と述べた。

 広田和子委員(精神医療サバイバー)も、住居の整備やホームヘルパーの派遣に対する支援の必要性を訴えた。野沢和弘委員(毎日新聞論説委員)は、精神障害者らの地域での生活を支えるため、相談窓口などに配置する人材の育成が必要と指摘した。

 一方、良田かおり委員(全国精神保健福祉会連合会理事)は、精神障害者の退院が、その家族や親戚に大変な負担となる場合もあると指摘。「家族は、精神障害者を入院させたがっているわけではない。(精神障害者との生活によって生じる)いろいろな問題を専門家によって支えてほしいと考えている」と述べた。

 また、退院に向けた意欲を喚起するための具体策について、伊澤雄一委員(NPO法人全国精神障害者地域生活支援協議会代表)は、病院スタッフの中には、退院を促そうにも、地域での精神障害者の生活のイメージがわかない人が多いと指摘。病院スタッフに対し、地域で精神障害者を支える制度などに関する研修を義務付けるべきとした。広田委員は、入院している患者の退院への意識を高めてもらうためには、地域で生活する人が、誰でも自由に精神病棟へ見舞いなどに訪れることができるよう、病院側が姿勢を改めるべきと指摘した。

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