Quantcast
Viewing all articles
Browse latest Browse all 17470

タンデム自転車:新潟で解禁 視覚障害者も試乗

 サドルとペダルが二つずつ備わった2人乗り用の「タンデム自転車」が今月から、新潟県内の一般道を走行できるようになった。県道路交通法施行細則が改正されたため。タンデム自転車は、長野県軽井沢町などの観光地でレジャー用として人気だが、視覚障害者にとってもサイクリングを楽しむことができる貴重な乗り物だ。解禁を受けて新潟市内で試乗会が開かれ、中途失明者らが自転車で風を切る喜びを感じた。【真野敏幸】

 タンデム自転車は、一部の県を除き都道府県公安委員会の同法施行細則によって一般道での走行が禁止されている。このため、県視覚障害者福祉協会などが「自転車を通じて視覚障害者の社会参加を進めたい」と約3年前から県公安委に規則改正を要望していた。こうした声を受けて慎重姿勢を見せていた県公安委も、既に解禁している長野や兵庫などで重大事故が発生していないことなどを勘案し、解禁することを決めた。解禁は全国で8県目。

 これを受けて、視覚障害者に自転車で走る面白さを体験してもらおうと、自転車愛好者団体「自転車のまち新潟の会」(新潟市)が同市中央区の信濃川堤防緑地「やすらぎ堤」で開催した試乗会には、視覚障害者ら約30人が参加、サイクリングを体験した。

 15歳で緑内障を発症し、39歳で失明した同市東区の上林洋子さん(68)は、一緒にやってきた盲導犬が心配そうに見守る中、タンデム自転車に乗り、やすらぎ堤を走り抜けた。上林さんは「目が悪くなって家に引きこもりがちだったのが、盲導犬と出会ったことで人生が変わった。自転車に乗れた今日は、それと同じくらいすてきだった。生きててよかった」と喜びをかみしめた。また、生まれつき弱視で、15年前に完全失明した同区の岩崎深雪さん(69)は「まともに自転車に乗ったのは中学校以来。怖いより楽しさが勝った。何度でも乗りたい」と笑顔を見せた。

 同協会の松永秀夫理事長(70)は「目が見えなくても自転車に乗れるということを広めたい」と話した。試乗会を企画した同会の涌井秀行さん(54)は「タンデム自転車は視覚障害者だけでなく、夫婦や友人で乗るなどさまざまな可能性がある。今後も定期的にイベントを開きたい」と語った。

 現在、県内では、同市中央区古町通の自転車屋「カミフル・サイクルステーション」で、タンデム自転車の有料レンタルを行っている。問い合わせは同店(025・311・5459)。

Image may be NSFW.
Clik here to view.

タンデム自転車を楽しむ視覚障害者の女性(中央)=新潟市中央区のやすらぎ堤で2014年4月5日午後2時19分、

毎日新聞 2014年04月16日 18時55分

Viewing all articles
Browse latest Browse all 17470

Trending Articles



<script src="https://jsc.adskeeper.com/r/s/rssing.com.1596347.js" async> </script>