福岡県筑紫野市の県立福岡高等視覚特別支援学校に昨春から留学していた全盲のモンゴル人女性バトバヤル・エンフマンダハさん(25)が18日、帰国する。2009年に来日し、指圧やはり・きゅうを学び、3月に母国の視覚障害児を支援する団体を設立。日本で習得した技術を母国で広めながら、同じ境遇の子どもたちに「夢と希望を持たせたい」と張り切っている。
首都ウランバートルから約400キロの町に生まれたエンフマンダハさんは6歳の時、ブランコから落ちて頭を強打し、視力が徐々に衰え16歳で失明した。転機は高校3年の時。日本で技術を習得したマッサージ師に出会い、自立できる道があると分かった。「私も日本で学びたい」
大学で日本語を学び、09年に来日。翌年4月から筑波大付属視覚特別支援学校(東京)に通い、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師の国家試験に合格した。福岡高等視覚特別支援学校ではパソコン操作などを学び、3月に卒業。帰国後は首都にある視覚障害者職業訓練センターで講師としてマッサージなどを教えながら、開業を目指す。同校で指導した岡田富広・研修科主任(41)=同県小郡市=は「しんの強い努力家。母国で必ず活躍してくれる」と太鼓判を押す。
母国では視覚障害者への理解が低いという。視覚障害児は3千人と推定されるが、特別支援学校は首都にしかなく、学べるのは90人。学費や寮費は無料でも地方には貧しい家庭が多く、数百キロから千キロ以上にも及ぶ学校までの距離を移動する交通費を出せないのが現状だ。障害を「恥ずかしい」と考える親もいて、「多くの視覚障害児は家に閉じこもるしかない」とも。
エンフマンダハさんは昨秋、点字作文コンクールで入賞。賞金5万円などを基に視覚障害児支援の「OYUNLAG(オユンラグ)(知恵)センター」を設立した。地方出身者を対象に実家への一時帰宅費や生活費などを支援。1人年間10万円程度が必要で、当面は首都に比較的近い(500キロ圏内)出身の生徒1人を支援する。「将来はもっと多くの、もっと遠くの子を支援したい」
「失敗を障害のせいにしない」を胸に努力を重ねてきたエンフマンダハさん。「日本で多くの方々からいただいた優しさを、母国の子どもに返したい」と話している。同センターは活動を支援する寄付金や協力者を募っている。
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あなたの「物語」をお寄せください。住所、氏名、連絡先を明記の上、あて先は〒810−8721(住所不要)、西日本新聞報道センター「青空」取材班。
電話=092(711)5215
ファクス=092(711)6246
メール=aozora@nishinippon-np.jp
=2014/04/17付 西日本新聞朝刊=
首都ウランバートルから約400キロの町に生まれたエンフマンダハさんは6歳の時、ブランコから落ちて頭を強打し、視力が徐々に衰え16歳で失明した。転機は高校3年の時。日本で技術を習得したマッサージ師に出会い、自立できる道があると分かった。「私も日本で学びたい」
大学で日本語を学び、09年に来日。翌年4月から筑波大付属視覚特別支援学校(東京)に通い、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師の国家試験に合格した。福岡高等視覚特別支援学校ではパソコン操作などを学び、3月に卒業。帰国後は首都にある視覚障害者職業訓練センターで講師としてマッサージなどを教えながら、開業を目指す。同校で指導した岡田富広・研修科主任(41)=同県小郡市=は「しんの強い努力家。母国で必ず活躍してくれる」と太鼓判を押す。
母国では視覚障害者への理解が低いという。視覚障害児は3千人と推定されるが、特別支援学校は首都にしかなく、学べるのは90人。学費や寮費は無料でも地方には貧しい家庭が多く、数百キロから千キロ以上にも及ぶ学校までの距離を移動する交通費を出せないのが現状だ。障害を「恥ずかしい」と考える親もいて、「多くの視覚障害児は家に閉じこもるしかない」とも。
エンフマンダハさんは昨秋、点字作文コンクールで入賞。賞金5万円などを基に視覚障害児支援の「OYUNLAG(オユンラグ)(知恵)センター」を設立した。地方出身者を対象に実家への一時帰宅費や生活費などを支援。1人年間10万円程度が必要で、当面は首都に比較的近い(500キロ圏内)出身の生徒1人を支援する。「将来はもっと多くの、もっと遠くの子を支援したい」
「失敗を障害のせいにしない」を胸に努力を重ねてきたエンフマンダハさん。「日本で多くの方々からいただいた優しさを、母国の子どもに返したい」と話している。同センターは活動を支援する寄付金や協力者を募っている。
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=2014/04/17付 西日本新聞朝刊=