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Channel: ゴエモンのつぶやき
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埼玉)災害時の発達障害者救援は?消防職員にマニュアル

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 意思疎通に困難を抱えていることが多い発達障害者。災害救助などの現場でそんな特性を理解してもらった上で適切な対応につなげてもらおうと、県自閉症協会が消防職員向けの対応マニュアルを作成した。9日から順次、県内ほぼすべての消防職員約8千人に対し配布されている。

 「発達障がいのある子どもたち&人たちへの対応マニュアル」は、石灰石由来の炭酸カルシウムなどを素材にしてできた紙を使い、水や汗でぬれても破れにくくした。また、折りたたむとパスケースに入るサイズになるようにして携帯性に配慮。「作って終わり」ではなく、常に携行して、現場で使ってもらえるような実用性を備えた。

 こうしたマニュアルを作った狙いについて、長男(27)が知的障害を併せ持つ自閉症の小材由美子会長(52)は「私たちの子どもを守ってくれる人たちに(障害のことを)正しく理解してもらう必要があるから」と説明する。発達障害者が、助けに駆けつけた救急隊員とうまく意思疎通できず、救助に支障をきたすことも考えられるためだ。

 障害者は言葉で説明されるより、絵で視覚的に説明してもらった方が理解しやすいことが多いという。そのため、マニュアルには「助けに来ました!」の文字とともに、救急隊員の絵と、いい意味を表す「丸印」が描かれている。これを救助される側の障害者が見れば、隊員が「怖い人」ではなく、「自分を助けてくれるいい人」だと認識できるというわけだ。

 救急隊側から説明しやすいように、「ストレッチャーに寝てください」「体を触ります」といった意味を表す絵も入れた。「痛い」「分からない」などを表現した絵は、言葉で自分の症状を伝えにくい障害者に指し示してもらう利用法を想定している。

 このほか、「会話が一方的でかみ合わない」「体に触れると怒りだした」など、意思疎通がうまくいかない具体例と対応例を紹介。「無理やり移動させる」「大きな声で話しかける」など、してはいけないことも併記する。また、マニュアルを詳細に解説した小冊子「緊急時対応ハンドブック」(15ページ)も同じ素材で作り、こちらも消防職員に同時配布する予定だ。

 国や自治体の責務を定めた発達障害者支援法の施行から来年で10年。その理念が社会の隅々に行き渡るまで、関係者の努力は続く。県消防防災課の原田智宏主事(34)は「小さい子なら手を握ってあげたら安心すると勝手に想像していたが、子どもによっては触られるのを嫌がるということがわかった」。川越地区消防局救急課の新井真理子主査(39)も「救急隊も医者ではないのですべてを知っているわけではない。こういうものがあると安心」と話す。

2014年5月10日03時00分 朝日新聞デジタル


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