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発達障害の大学生の就職支援始まる 専門施設や大学が後押し

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 発達障害の大学生や卒業生の就労支援が始まっている。大学の街・京都では今春、就職活動や職場定着をケアする専門施設がオープン。就職活動がうまくいかなかった学生のために卒業後の就労を後押しする大学もある。卒業後の引きこもりなど社会で孤立しないための就労支援が求められている。

 職場定着を

 午前10時前、京都市下京区のビルの一室。スーツ姿の20代の男女約10人が自己分析講座を受けていた。好きなこと、嫌いなことを理由とともに書き出していく。好きな場所に「薄暗い場所」を挙げた男性は、理由に「自分の世界に浸っていられるので」。講師は「これまで体験した出来事の中で好きなこと、嫌いなことを振り返ることは仕事選びのヒントになります」とアドバイスする。

 4月開設の発達障害のある大学生や卒業生らを対象とする就労移行支援事業所「エンカレッジ京都」。高等教育を受けた発達障害者の就職に向け、コミュニケーションやビジネスマナーのトレーニング、職場体験、障害者雇用枠での雇用先の開拓などを行っている。

3月に私立大学を卒業した男性(22)は大学2年生のとき、アスペルガー症候群の診断を受けた。就職活動は全くできなかった。大学の単位取得に必死になってしまったためだ。「周囲の勧めもあって、ここに通い始めました。毎日スーツを着て講座を受けているので気が引き締まります。自分に合った仕事を見つけていきたい」と話す。

 理系の大学院を修了した男性(25)は集団行動が苦手で、粘土細工やゲームに熱中する子供だった。昨秋、アスペルガー症候群の診断を受け、障害者雇用枠での就職も視野に通い始めた。「社会人としてのビジネスマナーを学んで、専門を生かし検査機関などの就職を目指したい」

 発達障害の大学生は増加傾向にある。日本学生支援機構が全国の大学や短大、高等専門学校などを対象に実施した実態調査によると、発達障害の診断を受けた学生は平成25年度に2393人で、5年前の約8倍。エンカレッジ京都サービス管理責任者の高橋亜希子さんは「身体障害者に比べ、発達障害者の就職や就労支援は進んでいないのが現状。個々の適性に合う仕事を見つけ、職場定着を後押ししていきたい」と話す。

フォローアップも

 大学の就労支援も始まっている。

 富山大学(富山市)では卒業後約1年間、ハローワークと連携しながら学生に適した職場開拓を行っている。学生支援センター特命講師の桶谷文哲さんは「大学を卒業しても行き場がなく、社会とのつながりがないことは深刻な問題。学業の支援とともに、出口である就職の支援もニーズが高く、今後も支援を充実させていきたい」と話す。

 発達障害の就労支援に詳しい宇都宮大学の梅永雄二教授は「アスペルガー症候群であれば、知能レベルは高いが人間関係の構築が苦手という特徴がある。それを踏まえ、就労支援を行うのは大きな意義がある」と評価する。ただ、就職しても転職や離職を繰り返して職場定着できない人も多いだけに、「上司や同僚が発達障害を理解したうえで対応するなど職場でのフォローアップも重要になってくる」と話している。

 ■支援進まず、低い就職率

 社会福祉法人「北摂杉の子会」(大阪府高槻市)などが平成24年に全国の大学・短大259校に実施した調査では、発達障害の診断を受けた学生の休学・退学率は16.8%。身体障害者(肢体不自由)の学生の約3倍に上る。就職率も身体障害者が52%に対し、発達障害者は29%と低かった。発達障害のある学生の就労を支援する専門部署や機関がある大学・短大は3%にとどまり、33%が就労支援を行っていないと答えるなど、支援は進んでいない。

2014.6.15 07:53 SankeiBiz

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