【北広島】島松の竹内農園で、市内外の精神障害者6人が働いている。農園を運営する竹内巧さん(34)は新規就農者で、障害者たちも農作業は初めて。互いに口にするのは「1人じゃない」という言葉。農業と福祉の融合に向けて、野菜作りに励んでいる。
6月中旬、2ヘクタールの畑は生育中の無数の苗で緑色に染まっていた。「あそこは長ネギ。ここはタマネギ。1人じゃできなかった」。畑を見渡した竹内さんは、うれしそうに話した。
小樽商大を卒業し、オートバイが好きで機械メーカーに就職。インド駐在も経験した。だが、北海道に帰省して札幌の中心部を歩いた時、地元の会社が少ないことが気になった。
竹内さんは「北海道ならではの仕事で、皆と違うことをして注目されれば人も集まる」と考え、農業を思いついた。
農業は種まきや除草、施肥など手作業が細分化されており、障害者ができる仕事も多い。「農業と福祉の融合」という個性を出しつつ、障害者の収入確保にもつなげようと、インドで辞表を提出した。
その後、障害者施設の職員を経て2011年から恵庭の農園で修業。その時のつてで島松に畑を借り、今年4月に開園。妻の愛さん(31)も一緒に畑に立つ。
農園には市内の精神障害者の通所施設「ワークサポートサンスマイル」の利用者が通い、就労訓練を兼ねて農作業を行う。農業を通じた精神障害者の就労訓練について、道農業経営課は「道内では珍しい」としている。
うつ病の男性(49)はこれまで、毎年4、5月には気分が落ち込んで部屋から出られない日が多かった。だが、今年は毎日農作業に参加できた。「仲間と一緒に汗をかくと1人じゃないと思える」と日焼けした顔で笑う。
種まきから袋詰めまで、手をかけた野菜が商品となるのを見るのがやりがいだ。「1輪の花すら育てたことのない自分もできる仕事がある。成長していけると思える」と話し、今後の就職先として農業の手伝いも候補として考えるようになった。
農園では今、コマツナやミズナを収穫し、札幌市内のスーパーで販売されている。タマネギやスイートコーンなども収穫時期を迎える。
竹内さんは「皆の笑いが広がると、やっていて良かったと思える。こういった取り組みが広まってほしい」と話している。
(06/18 16:00)(06/18 16:00)北海道新聞社
6月中旬、2ヘクタールの畑は生育中の無数の苗で緑色に染まっていた。「あそこは長ネギ。ここはタマネギ。1人じゃできなかった」。畑を見渡した竹内さんは、うれしそうに話した。
小樽商大を卒業し、オートバイが好きで機械メーカーに就職。インド駐在も経験した。だが、北海道に帰省して札幌の中心部を歩いた時、地元の会社が少ないことが気になった。
竹内さんは「北海道ならではの仕事で、皆と違うことをして注目されれば人も集まる」と考え、農業を思いついた。
農業は種まきや除草、施肥など手作業が細分化されており、障害者ができる仕事も多い。「農業と福祉の融合」という個性を出しつつ、障害者の収入確保にもつなげようと、インドで辞表を提出した。
その後、障害者施設の職員を経て2011年から恵庭の農園で修業。その時のつてで島松に畑を借り、今年4月に開園。妻の愛さん(31)も一緒に畑に立つ。
農園には市内の精神障害者の通所施設「ワークサポートサンスマイル」の利用者が通い、就労訓練を兼ねて農作業を行う。農業を通じた精神障害者の就労訓練について、道農業経営課は「道内では珍しい」としている。
うつ病の男性(49)はこれまで、毎年4、5月には気分が落ち込んで部屋から出られない日が多かった。だが、今年は毎日農作業に参加できた。「仲間と一緒に汗をかくと1人じゃないと思える」と日焼けした顔で笑う。
種まきから袋詰めまで、手をかけた野菜が商品となるのを見るのがやりがいだ。「1輪の花すら育てたことのない自分もできる仕事がある。成長していけると思える」と話し、今後の就職先として農業の手伝いも候補として考えるようになった。
農園では今、コマツナやミズナを収穫し、札幌市内のスーパーで販売されている。タマネギやスイートコーンなども収穫時期を迎える。
竹内さんは「皆の笑いが広がると、やっていて良かったと思える。こういった取り組みが広まってほしい」と話している。
(06/18 16:00)(06/18 16:00)北海道新聞社