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Channel: ゴエモンのつぶやき
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セルフヘルプの底力 「食、触、色、職」しょくを楽しむ 視覚障害者文化を育てる会

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 愛称は「4(し)しょく会」。ししょく? 聞きなれない言葉だが、会長で視覚障害のある竹田恭子さんが京都府長岡京市で6月にあった同会のイベントで、参加者約70人を前に、ユーモアを交えて説明した。

 「よく、(1日に)4回食事をする会ですか?と尋ねられますが、そうではありません。誰でも楽しめる『食』、(指先でさわる)点字に代表される『触』、工夫をすることで視覚障害者にも身近になる『色』、そうした生活に必要な『職』。この四つの『しょく』です」

 つまみ食いのように、会に気軽に参加してほしいと、デパートの「試食」もかけているという。

 大学を卒業した視覚障害者を中心にした「日本盲人福祉研究会」が2001年に約40年の歴史に終止符を打ち、研究会の関西地区メンバーで同年、新たに4しょく会を設立した。

 目の見える晴眼者中心の社会のあり方を問い直し、「斬新かつユニークな文化を創造しよう」と、竹田会長と共に尽力したのが、4しょく会の名付け親でもある副会長の広瀬浩二郎さん(46)だ。広瀬さんは幼い頃から弱視で、13歳の時に全盲になった。京都大大学院で博士号を取得し、現在、国立民族学博物館准教授(文化人類学)を務める。

 広瀬さんらが会の活動で力を入れているのが、春と秋の年2回のイベントだ。01年秋の発会イベントでは、視覚障害者のサッカー「ブラインドサッカー」を楽しんだ。鈴の入ったボールの音と仲間の声を頼りにプレーし、元サッカー選手の釜本邦茂さんも駆けつけた。以後、においを楽しむ香道体験や酒蔵訪問など、四つの“しょく”を満喫するイベントを重ねている。

 6月のイベントは「働き方」をテーマにした。公務員などとして働いている5人が体験を語り合った。4しょくの中でも、特に「職」について考えることは重要性を増しているという。大阪市内で11年春に開いた会設立10年記念イベントで広瀬さんは講演を次の言葉で締めくくった。

 「『自分は目が見えないけれど、それなりに幸福です』と言えることは大切だと思います。やりがいのある“職”を獲得し、自己実現を求めて胸を張って堂々と生きる。こんな仲間を増やすことが『4しょく会』の壮大なる社会改良計画です。障害者が幸福を実感できる社会は、きっと万人にとって暮らしやすい社会なのではないでしょうか」

毎日新聞 2014年07月26日 大阪朝刊

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