◇県議会と19市町、意見書など可決 普及のため環境整える
Q 全国の地方議会で「手話言語法」制定を国に求める動きがあるよね。県内でも県議会と19市町で意見書や請願などを可決していて、さらに9月議会で増えそうなんだって。一体、何が起こっているの?
A 全日本ろうあ連盟(東京都新宿区)に加盟する全国47都道府県の聴覚障害者(ろうあ者)団体が、それぞれ昨年9月から地方議会に意見書を求める働き掛けをしています。障害者基本法には「全て障害者は、可能な限り、言語(手話を含む)その他の意思疎通のための手段についての選択の機会が確保される」とありますが、新たな法律を作ることで、聴覚障害者が「手話を学ぶ」「手話で学ぶ」「手話で生きる」ための環境を整える目的です。日本語と対等な独立した「言語」として、手話を普及させようとしています。
Q ん? 確認だけど、手話は日本語とは違うのかな。
A テレビなどで手話の同時通訳を見たことがあると思いますが、単純に日本語を手話で置き換えているものではありません。手話の表現は手や指、体などの動き、顔の表情を視覚的に使います。さらに細かくいえば、目や眉、視線のほか、口や顔、体の向きも重要なのです。
Q 誤解していました。手話は日本語の音声を使った会話を助けるためのものじゃないのだね。
A その通り。リアルタイムに情報を得たり、コミュニケーションをしたりするための「言語」の一つなんだ。日本が今年1月に批准した障害者権利条約では「『言語』とは、音声言語及び手話その他の形態の非音声言語をいう」と定義しています。
Q 視覚障害者が通う、ろう学校では、手話を学んで、手話を使って勉強しているんじゃないの?
A ろう学校で手話を使って学ぶ授業は、まだ歴史が浅いといえます。カリキュラム(教科)として手話を学ぶ時間はありません。また、ろう学校の先生が、必ずしも手話ができるわけではありません。ろう学校は長い間、日本語の習得を目標としていました。「聴覚口話法(ちょうかくこうわほう)」といって、声で話し、相手の唇の動きを読み取ることを求めてきました。50音を区別する手掛かりとして「キューサイン」というポーズを使ってきました。
Q キューサインと手話は似てないの? 同時に覚えることはできないのかな。
A 手話は全国共通で通じますが、キューサインは県内3校あるろう学校でさえ違っていて、他校との交流も難しいそうです。県聴覚障害者協会の小倉健太郎事務局長は「キューサインは日本語についているもので、言語としての手話は別物。同時に二つの言語を覚えるのは難しいです」と説明。「自然に手話という言語を覚えてから、その後に日本語を2番目の言語として覚えればいい」と手話で話します。
Q 聴覚障害者にとって、最初に手話を学ぶチャンスがあることが大切なんだね。
A 地方の動きとして、鳥取県が昨年10月に手話言語条例を制定し、地方自治体でも北海道新得町、三重県松阪市、佐賀県嬉野市が条例を可決しています。私も全国からのたくさんの意見書が、地方の声として国を動かす力になるかどうかに注目しています。
毎日新聞 2014年07月26日 地方版
Q 全国の地方議会で「手話言語法」制定を国に求める動きがあるよね。県内でも県議会と19市町で意見書や請願などを可決していて、さらに9月議会で増えそうなんだって。一体、何が起こっているの?
A 全日本ろうあ連盟(東京都新宿区)に加盟する全国47都道府県の聴覚障害者(ろうあ者)団体が、それぞれ昨年9月から地方議会に意見書を求める働き掛けをしています。障害者基本法には「全て障害者は、可能な限り、言語(手話を含む)その他の意思疎通のための手段についての選択の機会が確保される」とありますが、新たな法律を作ることで、聴覚障害者が「手話を学ぶ」「手話で学ぶ」「手話で生きる」ための環境を整える目的です。日本語と対等な独立した「言語」として、手話を普及させようとしています。
Q ん? 確認だけど、手話は日本語とは違うのかな。
A テレビなどで手話の同時通訳を見たことがあると思いますが、単純に日本語を手話で置き換えているものではありません。手話の表現は手や指、体などの動き、顔の表情を視覚的に使います。さらに細かくいえば、目や眉、視線のほか、口や顔、体の向きも重要なのです。
Q 誤解していました。手話は日本語の音声を使った会話を助けるためのものじゃないのだね。
A その通り。リアルタイムに情報を得たり、コミュニケーションをしたりするための「言語」の一つなんだ。日本が今年1月に批准した障害者権利条約では「『言語』とは、音声言語及び手話その他の形態の非音声言語をいう」と定義しています。
Q 視覚障害者が通う、ろう学校では、手話を学んで、手話を使って勉強しているんじゃないの?
A ろう学校で手話を使って学ぶ授業は、まだ歴史が浅いといえます。カリキュラム(教科)として手話を学ぶ時間はありません。また、ろう学校の先生が、必ずしも手話ができるわけではありません。ろう学校は長い間、日本語の習得を目標としていました。「聴覚口話法(ちょうかくこうわほう)」といって、声で話し、相手の唇の動きを読み取ることを求めてきました。50音を区別する手掛かりとして「キューサイン」というポーズを使ってきました。
Q キューサインと手話は似てないの? 同時に覚えることはできないのかな。
A 手話は全国共通で通じますが、キューサインは県内3校あるろう学校でさえ違っていて、他校との交流も難しいそうです。県聴覚障害者協会の小倉健太郎事務局長は「キューサインは日本語についているもので、言語としての手話は別物。同時に二つの言語を覚えるのは難しいです」と説明。「自然に手話という言語を覚えてから、その後に日本語を2番目の言語として覚えればいい」と手話で話します。
Q 聴覚障害者にとって、最初に手話を学ぶチャンスがあることが大切なんだね。
A 地方の動きとして、鳥取県が昨年10月に手話言語条例を制定し、地方自治体でも北海道新得町、三重県松阪市、佐賀県嬉野市が条例を可決しています。私も全国からのたくさんの意見書が、地方の声として国を動かす力になるかどうかに注目しています。
毎日新聞 2014年07月26日 地方版