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Channel: ゴエモンのつぶやき
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障害者の虐待 身近な人の勇気求めたい

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 どんな理由があろうと虐待は許されない。とりわけ障害のある人に対する虐待はもっての外だ。子どもでも分かる道理だろう。

 では、虐待を受けている恐れのある障害者を見つけた全ての人に通報義務があるのをご存じだろうか。一昨年10月に施行された障害者虐待防止法の規定だ。その周知徹底が不十分なことをうかがわせる調査結果がまとまった。

 昨年度、職場で雇い主や上司から虐待を受けた障害者は393人に上るという。全国各地の労働局などが通報・届け出を受け、立ち入り調査を実施して認定した数を厚生労働省が集計した。障害者虐待防止法に基づく調査で、1年分の件数が出るのは初めてだ。

 虐待内容は賃金の未払いや最低賃金を下回る金額しか払わないといった経済的な問題が大半で、暴言などによる心理的虐待や身体的、性的な虐待と続く。虐待された側は知的障害者が目立って多い。中には、物を投げつけられた上に「死ね」「殺す」などの暴言で追い詰められて退職を余儀なくされたケースや、棒でたたかれ頭から出血した障害者などもいた。

 耳を疑う話だ。国は障害者の法定雇用率を引き上げるなど雇用促進に力を入れており、働く障害者は今後も増える。悪質な雇用主への是正指導を徹底してほしい。

 気掛かりなのは調査で認定された以外にも虐待が疑われる事例が多いことだ。本人や家族、同僚の通報・届け出のうち認定されたのは約4割に過ぎない。事実関係の裏付けに限界があるためだが、厚労省も「認定に至らなくても疑わしい事例は多い」とみている。

 例えば賃金の未払いであれば、帳簿などで違法行為を客観的に証明できるが、身体的・心理的な虐待は物的証拠が得にくい。

 この問題に詳しい弁護士は「一緒に働く人が障害者に理解を示し、深刻な事態になる前に通報・証言することが大切だ」と話す。

 障害者の社会参加のためにも、安心して働ける職場づくりは重要な課題である。身近にいる人たちの勇気も求められている。

=2014/08/19付 西日本新聞朝刊=

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