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特別支援校「職業学級」設置拡大 就労に力

 2011年に県内の特別支援学校3校に設置された職業学級(※)が、来年度から新潟市西蒲区の西蒲高等特別支援学校にも新設されることが決まった。高校卒業後のスムーズな就労につなげる実践的なカリキュラムが特徴で、昨年度卒業した1期生、38人中37人が就職している。県教育委員会はこうした成果を踏まえ、職業学級を拡大することで雇用の促進につなげたいとしている。

 現在、職業学級が設置されている特別支援学校は、江南高等特別支援学校(新潟市江南区)、月ヶ岡特別支援学校高等部(三条市)、吉川高等特別支援学校(上越市)の3校。西蒲高等が4校目となる。

 知的障害を持つ生徒が通う江南高等特別支援学校では、1学年約50人のうち、20人が職業学級で学ぶ。バスや電車などの公共交通機関の乗り方や流通の仕組みについて1年生から学習するほか、全学年が午後を職業演習に充てている。

 演習では、スーパーでの品出しやレジ打ち、介護施設を想定したベッドメイキングなど、流通、清掃、介護、接客の4分野で実務を練習する。同校によると、職業学級が設置される以前は、リサイクル用の廃缶つぶしなどの作業学習を取り入れる程度だった。職業学級主任の増田智吉教諭は「カリキュラムが就労に特化しているので、生徒たちの目標も明確になる」と手応えを語る。

 同校では、2年生までに生徒の得意な仕事内容を把握し、3年生では就職を希望する企業で1〜2週間の実習を行う。毎日の実習先までの移動も生徒一人で行うことで、将来その職場に就労した場合、自身への負荷を軽減することにもつながるという。

 国の施策も就労の追い風になっている。昨年度から障害者の法定雇用率が1・8%から2・0%(民間企業)に引き上げられた。これに伴い、障害者雇用が義務付けられる企業も従前の従業員数56人以上から50人以上となり、対象企業が拡大。新規に雇用する企業側にとっても、事前に実務訓練を重ねた生徒は即戦力として期待が大きい。

 増田教諭は「これまでは障害がある人は支援される側という意識があったかもしれないが、安定した収入を得る力がある生徒たちを後押ししたい」と話す。

 新設される西蒲高等特別支援学校は、新潟学区(新潟市、新発田市、聖籠町、弥彦村)で希望者数などを把握し、定員を検討する。県教委義務教育課は「職業教育をリードする学校にしていきたい」としている。

※職業学級 県教委が2011年、特別支援学校3校の高校生を対象に取り入れた。アスペルガー症候群や注意欠陥・多動性障害(ADHD)など軽度の知的障害を持つ生徒を中心に入試で選考する。1クラス10人規模と少人数体制であるため、生徒に見合った職業を見極める指導も充実している。就職先はスーパーや介護施設、部品製造会社など。

2014年09月05日 読売新聞

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