仙台市が制定を目指す障害者に対する差別を解消する条例について検討する「市障害者施策推進協議会」(阿部一彦会長)の第2回会合が5日夜、市役所であった。同日付で委嘱された臨時委員を含む20人を超える委員が、差別を受けた体験や先進地視察の結果を報告して意見を交わした。
委員のうち障害のある9人が体験を発表。条例制定を契機に変わってほしい社会の仕組みなどについても意見を述べた。
全盲の男性はテレビの緊急時テロップ放送を取り上げた。放送開始は音で分かるものの「内容が分からず、情報収集に苦労する」と語った。「何もできないと思われるのが一番の差別。少しの配慮さえあればできることは多い」とも訴えた。
発達障害のある女性は「当初は嫌だった障害者手帳の取得を機に、職場の人たちの配慮の仕方に変化が出た。ただ、職場以外では障害のことを明かしたことで離れてしまう人もいた」と話した。
生まれつき弱視難聴の女性は「小学5年のときに障害を理由にクラス単位でいじめを受けた。6年時には多少収まったが、人と関わるのが苦手という意識ができてしまった」と打ち明けた。
同協議会の委員はこれまでに複数の障害者団体と意見交換したほか、千葉県とさいたま市の「条例先進地」を視察した。
佐々木智賀子委員は「合理的配慮を自然にできる社会を目指すべきだ。視察した千葉では、差別を受けた人と、差別した(かもしれない)人の話し合いを勧めることで相互理解を深めようとしている」などと報告した。
2015年度前半までに条例の素案提示を目指す協議会のスケジュールに合わせ、市は一般市民が参加できる議論の場をこの10月から数回設ける方針を説明。委員から手法に一部異論も出たが、おおむね了承された。
2014年09月08日月曜日 河北新報