県は、2013年度に県内で確認された障害者に対する虐待の状況をまとめた。件数は31件、被害者数は55人で、件数は前年度に比べ10件増えた。いずれも県などの指導を受け、改善されたとしている。
12年10月施行の障害者虐待防止法では、障害者への虐待に気づいた場合、自治体に通報することを義務付けている。13年度は県内で92件の相談や通報があり、市町村などの調査でうち31件を虐待と認定した。
内訳は、家族や同居人らによる虐待が13件(被害者13人)、障害者を雇用する事業主ら使用者が11件(同24人)、福祉施設の職員らが7件(同18人)だった。
家族や同居人らによる行為は、たたいたり蹴ったりする「身体的虐待」8件、暴言を浴びせるなどの「心理的虐待」6件、本人の同意なしに障害者年金を使うなどの「経済的虐待」4件、世話や介助をしない「放棄・放置(ネグレクト)」2件、「性的虐待」1件。複数の種類にわたるケースもあった。
施設職員らは、知的障害のある利用者を「強い口調で叱責する」「顔を殴ってけがをさせた」など。使用者については、法定賃金を支払わない経済的虐待が最多の7件だった。顔や頭をたたくといった暴力や暴言を吐く例もあった。
県障がい者支援課は「早期発見するための通報や、未然防止の啓発活動に力を入れたい」としている。
通報・相談は市町村の障害者虐待防止センターか、県障がい者権利擁護センター(096・333・2244)へ。
2014年09月22日 読売新聞