◇県内巡回、入場者を魅了
障害者らの独創的な作品を集めた「そこにある美術―アール・ブリュット―展」(厚生労働省、県、鳥取市主催)が、米子市美術館で開かれている。伝統や流行にとらわれず、「作りたい」という衝動を純粋に表現した作品が、来場者を魅了している。倉吉、鳥取両市でも巡回展示する。
「第14回全国障がい者芸術・文化祭とっとり大会」の一環。アール・ブリュットはフランス語で「生(き)の芸術」という意味で、美術の専門教育を受けていない人たちが独自の手法で創作した作品をさす。障害を持つ人によるものが多く、県内の6人を含む計34人の713点を展示している。
段ボールをキャンバスに赤色の色鉛筆で人物などを描いたり、町を鳥瞰(ちょうかん)し、ビルや道路、車などをびっしりと細密に描写したりした絵画など、画材や表現方法は多様。境港市の門山幸順(ゆきなり)さん(62)が創ったカニは、赤、青、黄など極彩色の合成樹脂で彩られている。
作品に見入っていた島根県出雲市、特別支援学級教師の小村みゆきさん(48)は「段ボールや方眼紙を使うなど、既存の枠に収まらない表現の作品に衝撃を受けた。普段接している障害を持つ子どもたちの指導の参考にしたい」と話していた。
無料。日程は▽米子市美術館 28日まで(水曜休館)▽倉吉博物館(倉吉市) 10月9〜19日▽県立博物館(鳥取市、作品は約800点) 10月25日〜11月3日。
2014年09月24日 読売新聞