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身体障害者に免許を 半世紀

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◇自動車運転教習 新座の「東厚生会」

  身体障害者の自動車運転教習に、半世紀にわたって取り組んできた新座市の一般財団法人・東厚生会(吉家義雄理事長)。その活動が保健衛生の向上に貢献したとして、「第66回保健文化賞」(第一生命保険主催、厚生労働省、朝日新聞厚生文化事業団など後援)に選ばれた。10月7日に東京で贈呈式がある。

 ◇保健文化賞に選ばれ 来月贈呈式

  同会は1962年に長野県で発足し、翌年から身体障害者への教習を始めた。川上敏次理事は活動について、「身体障害者が就職や自立した生活をするには、自分の足となる自動車の必要性は高い」と説明する。

  現在は新座市で身体障害者運転能力開発訓練センターと東園自動車教習所を運営。教習所は約1万平方メートルのコースに教習車が24台。そのうち17台には手でアクセルやブレーキ、ハンドル操作などができるなど障害者用の装置が付いている。

  同会では、ハローワークに求職登録をして免許取得を目指す身体障害者を訓練生として受け入れる。国からの助成で訓練生の自動車教習費は無料になる。

  さいたま市の高校3年、佐藤彩夏(あやか)さん(18)は脳性マヒで生まれつき両足が不自由だ。今年7月から3カ月間、訓練センターで寮に入りながら教習を受けている。現在、第2段階だ。

  生活に車いすは欠かせない。「就職して社会で生活してみたい。それには運転免許を持っていた方がいい」と、学校の先生に相談して3カ月間の休みをもらった。学校で必要な単位は補習でカバーする。

  教習車は左手でアクセルとブレーキ、右手でハンドルを操作する。最初、「こんな大きなものが、自分の運転で動くんだ」と胸がドキドキしたという。

  運転の操作は「全部難しい」。コースの「S字」と「クランク」が苦手で、教習の進み具合は少し遅れ気味だが、「何回も乗ることで、自分の技術が少しずつ上がる」と前向きだ。

  将来は、医療・福祉の仕事など「人と関わることが多い仕事に就きたい」という佐藤さん。「いろんな人に会っていろんな経験がしたい。車があれば、自分の行きたいところに自分で行ける」と笑顔で話した。

  これまでに同会から巣立った身体障害者ドライバーは1万3千人を超える。パラリンピックで活躍したアスリートの成田真由美さんや土田和歌子さんもここで運転免許を取得した。86年から健常者の教習も始め、最近は年に約100人の身体障害者と約600人の健常者が卒業していく。

写真・図版

教習車の運転席に座る佐藤彩夏さん=新座市の東園自動車教習所

2014年9月30日10時46分    朝日新聞


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