Quantcast
Channel: ゴエモンのつぶやき
Viewing all articles
Browse latest Browse all 17470

障害年金 命綱の格差解消を急げ

$
0
0

 同様の障害があるのに、住んでいる地域によって国の障害年金が支給されたり、されなかったりする不公平が放置されてきた。“命綱”の格差は許されない。不利益からの救済を急がねばならない。

 障害年金には加入する公的年金制度に応じ、障害基礎年金と障害厚生年金、障害共済年金がある。

 老齢年金が支給される六十五歳より前に心身の障害を負い、日常の暮らしや仕事に差し障りのある人に支払われる。障害の重さや保険料の納付期間などの要件を満たすと受給できる。

 このうち、多くの人が受け取る基礎年金の審査の仕組みに欠陥があることが分かった。申請して不支給と判定される割合に、都道府県によって大きな差があった。

 厚生労働省が二〇一〇年度からの三年間について不支給割合を調べた結果、最高は大分の24・4%、最低は栃木の4・0%で、六倍もの不自然な開きがあった。

 基礎年金では、日本年金機構の都道府県事務センターごとに委嘱された認定医が申請者の診断書を基に審査する。不支給割合の高い地域は、精神障害と知的障害の人の「日常生活能力の程度」に厳しい目安を設けて判定していた。

 申請者全体の三分の二を占める精神、知的障害の審査のばらつきが地域間格差を生み出してきた主な原因だったという。受給資格があるはずの多くの障害者が対象外とされているのは間違いない。

 この問題はかねて社会保険労務士らが指摘していた。情報の収集と開示を怠り、目を向けなかった厚労省と機構の責任は重大だ。客観性、公平性を担保した判定指標を速やかにつくらねばならない。

 申請一件につき認定医一人という態勢に加え、申請者や家族らと面談せず書類審査のみで判定するという構造的な問題もある。障害種別に専門の認定医を置き、主観に左右されないよう複数で審査する仕組みが望ましい。

 障害者の生存権に関わる。年金財政の逼迫(ひっぱく)を理由とした審査の安易な厳格化は受け入れられない。

 一〇年度に10・9%だった不支給割合の全国平均は一二年度には13・7%に上昇した。埼玉や千葉では倍増したというから不信感は強まる一方だ。

 子どもを除く障害者は推計約七百四十万人いるのに、障害年金の受給者は約百九十万人にすぎない。制度を知らず申請していない人も多いはずだ。窓口での受け付けや、更新に伴う支給停止や減額の実態も調べ、公表するべきだ。

2015年1月29日    中日スポーツ


Viewing all articles
Browse latest Browse all 17470

Trending Articles