「知的障害は治る?」などの○×クイズも行われた
知的障害者の自己理解を促すワークショップがこのほど都内で開かれた。障害分野の研究者や教諭などで構成する「オープンカレッジ東京」(代表=菅野敦・東京学芸大副学長)の主催で、19~53歳の知的障害者44人が参加した。
ワークショップでは、かつて全日本手をつなぐ育成会(解散)が作ったプログラムを使用。講師は開発に携わった吉川かおり・明星大教授と、元同会職員の羽村龍氏が務めた。
「まずは自分が好きなコンビニごとに集まってみましょう」。
講師のかけ声で、参加者はグループを作った。そして、具体的にどんな点が好きか問われると、参加者からは「コーヒーが安い」「からあげがおいしい」「自分の家から近い」などの意見が上がった。
羽村氏は「自分が好きなことを話すと気分が良くなり、相手と仲良くしたいと思いませんか。初対面の人とは好きな季節を話すといいかもしれませんね」とアドバイスした。
続いて、自分と他人の考え方の違いを知るクイズを行った。「お酒を飲めるのは20歳からである」という常識的な質問では、正解者が多く出た。ところが「元恋人に頻繁に電話しても良いか」「障害のある人は結婚できるか」といった質問は回答が分かれる結果となった。
また、「仕事」「友達」「夢」などについて、一人ずつ語るグループワークや、障害とはどういうものか紙に絵や文字で表現する課題もあった。
ワークショップ後、養護学校を卒業後15年にわたり工場で働いているという男性は「ちゃんと働くには、人間関係がとても大事。今回自分の好き嫌いが改めて分かって良かった」と感想を語った。
また、吉川氏は「キャリア教育は自分を理解することでもある。自分と他者の評価がかい離するとうまくいかなくなる。もっと自分の可能性を知ってもらえれば」と話した。
オープンカレッジ東京は、松矢勝宏・東京学芸大名誉教授が20年前に養護学校卒業生が社会人として生活するために必要なスキルを学べる場をつくろうと立ち上げた。高等部教育の延長ではなく、職場の人間関係や金銭管理、男女交際などをテーマに年4回開催しているという。
2015年01月30日 福祉新聞編集部