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Channel: ゴエモンのつぶやき
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17歳で交通事故に遭う

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 宮崎市の橋本佳代子さんは、平日午前9時半から午後3時まで、宮崎市の就労移行支援事業所「ウイングル」に通う。

 集中力を高める訓練をしたり、講話を聞いたりする。いくつかの会社や役所で事務職に就いた経験はある。だが、どれも契約期間に限りがあって長くは働けない。昨年は数社の面接や実習を受けた。内定までは行かなかったが、機会を待って就職活動に励む。

 17歳の9月18日土曜日、交通事故に遭った。意識が戻った後で、自転車で高校から帰宅中にワゴン車にはねられた、と知った。高鍋町と川南町の境の小学校の近くで、10メートルほど吹っ飛ばされ、頭から地面に落ちたらしい。その日の記憶は、まったくない。

 1カ月間、宮崎市内の脳神外科の集中治療室にいた。目が覚めたのは事故から約4カ月後。明るい部屋だったことは覚えている。「交通事故に遭って、いま起きたのよ」と母は喜んだが、何を言っているのか理解できなかった。大部屋に移ってからも意識はもうろうとしていた。

 貨物船の船員だった父は、1年のほとんどを船で過ごす。事故の知らせで戻ってきた。つきっきりで看病していた父は、ほっとした表情で言った。

 「もうだめかと思っていた」

(朝日新聞 2015年1月29日掲載)


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