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福岡 重症障害者 在宅6割超 九州初の全域調査 家族の負担重く


 重い障害のため日常的に介護を必要とする重症心身障害児・者は福岡県内で約3千人に上り、うち6割超の約2千人が家庭で過ごしていることが9日、同県の調査で分かった。県単位の広域的な実態調査は九州では初めて。痰(たん)の吸引など医療的ケアを必要とする在宅者も少なくないとみられ、介護の負担が家族にのしかかっている現状が浮き彫りになった。県は親たちを休ませるため、一時的に障害児・者を福祉施設や病院に預かってもらう「家族のためのケア」(レスパイトケア)対策に本腰を入れる。


 重症心身障害とは、日常的な動作や姿勢を維持するのが難しく、物事を理解したり判断する力に遅れがある状態をいう。こうした障害児・者のうち、断続的な痰の吸引や管を通した栄養(食事)の注入など、常に医療的なケアが必要な在宅者の実態はつかみにくい。福岡をのぞく九州6県では、既存福祉サービスの受給者数の把握にとどまるなど、本格的な調査には至っていない。

 家族の負担軽減を求める声も根強いことから、福岡県は昨年5月、調査に着手。市町村を通じ、身体障害者手帳(1、2級)と、重い知的障害の程度を示す療育手帳Aの両方の所持者(同3月末時点)を照合し、その数を積算した。福祉サービスの利用状況のほか、福祉施設などの入所者か在宅かを調べたところ、在宅が3分の2を占めた。

 同県は「施設への長期入所より、緊急時に対応する短期一時入所(ショートステイ)のニーズが高い可能性もある」(関係者)と想定。福祉施設や病院に対する人件費や設備投資の助成制度導入を視野に、今後、さらに詳細な実態を把握し、在宅者や親などのニーズを見極める。追加調査は市町村に再度、協力を求める方向で検討する。

 県幹部は「親へのケアのニーズが高まっているのは間違いない。今回の調査を、実現のための一歩としたい」と話している。 

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 【ワードBOX】レスパイトケア
 レスパイトは英語で「小休止」との意味。障害児・者や高齢者などを在宅で介護している家族に対し、一時的にそのケアを代行することによって、リフレッシュの機会と時間をつくってもらう家族向けの支援サービスをいう。施設への短期入所や、自宅への看護師訪問などがある。佐賀県や福岡県久留米市が受け入れ施設に経費を補助するなど、障害者向けのサービス拡充は九州の自治体でも広がりつつある。

=2013/01/10付 西日本新聞朝刊=

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