暗い場所でも「聞こえません」を伝えたい−。外見からは障害が分かりづらい聴覚障害者の情報バリアフリーに取り組む東京都中野区のNPO法人「ベターコミュニケーション研究会」が、暗所で十時間、発光して障害を知らせるシールを開発した。阪神大震災や東日本大震災での体験に基づくアイデアで「一人でも多くの命を救いたい」と普及を目指している。
「東日本大震災で聴覚障害者の死亡率は健聴者の二倍以上と報じられた。停電でテレビも消え、津波到来の緊急情報を得られなかったためだろう」。自身も三歳の時に失聴した研究会の中園秀喜理事長(64)は災害時に情報から遠ざけられている現状を心配する。
十八年前、阪神大震災の避難所で、救援物資の配布に気づかなかった聴覚障害者がいたことを知り、周囲に障害を伝えることの大切さを知った。東日本大震災でもボランティア活動で被災地を訪れ「避難生活は夜も続く。聞こえないというメッセージを表示する必要がある」と実感した。
開発した「蓄光・お助けシール」は太陽や蛍光灯の光に二十分当てると、青色に十時間光る。名刺サイズで「聞こえません 手話・筆談で教えてください」と表記される。短時間光るグッズはあるが、長時間発光するものは初めてという。

一枚五百円。問い合わせは、同研究会=ファクス03(3380)3324、メールequal@bcs33.com
東京新聞-2013年1月18日 朝刊